僕のことが好きな2人
 お昼始まりのチャイムが鳴り、みんなが席を動かし始める。僕は透の席に葉名が作ったお弁当を持って移動する。
 お弁当袋からお弁当を取り出す。白と黒のお弁当とおにぎりだ。
 僕はお弁当の蓋をそっと開ける。鼓動が少しだけ早くなる。
「わぁ」と思わず感嘆の声が漏れた。
 唐揚げに卵焼きにトマトにミートボールに、他にも具材がたくさん入っているのに可愛く盛り付けられている。二つのおにぎりには海苔で可愛く猫になっていた。
 クオリティーが高すぎる。盛り付けが本当に上手だ。
 まずは卵焼きに手をつけた。いつもお弁当に入っている卵焼きとは少し違って少し甘い。前で見ていた透にもあげることにした。
「美味しいなこれ」
 僕はそっと葉名たちがいる方を見た。目が合ってお互いにするそらす。
 次はおにぎりを食べて、唐揚げも食べた。どれもこれもが美味しくて食べるのがもったいなくなってしまう。
 そのまま透にも分けながらお弁当を食べ終えた。
 よく見ると下に小さなメモ用紙が入っていた。
(今日の放課後、美織ちゃんと三人で最後に話したいです)
 美織のお弁当をまだ食べてないけど決める日が来たってことかな。

 放課後。僕は葉名と初めて話した体育館の裏に僕と葉名と美織で集まった。
「あの、一つだけ葉名に聞きたいことがあるんだけどいい?」
 お互い顔を合わせるだけで会話が始まらなかった空間に僕が言葉を出した。
 葉名はうん、と小さく頷いた。
「葉名は透が好きなんだよな?」
 本当か分からない。ただの推測だからほんとに言うかは戸惑ったけど聞くことにした。
「好きになった、の方が正しいかも知れないな」
 葉名は小さく呟くように下を見ながら言った。
「旬くんは最初から美織ちゃんだったみたいだし」
 えっ、と美織は葉名の方を向く。葉名、それ言わないでよ...。
「ほんと?」
 美織は僕の方に向き直った。
「じゃあ私は違う所に行くね。旬くん、迷惑かけてほんとにごめんね」
「ううん。僕も葉名と話せて良かった」
 告白された時のように葉名は校舎の方へ走って行った。透は教室にいるだろう。
 僕は美織と向かい合った。
「返事遅くなってごめんなさい」
 深呼吸をして気持ちを落ち着ける。
「美織のことが好きです。付き合ってください」
 こんなに緊張したことあっただろうか。中学時代に全校生徒の前で友達と部活で賞を取った時にもらった賞状を受け取る時だろうか。その時とは少し違う緊張な気がする。
 美織はふっと頬を緩めた。
「はい。お願いします」
 僕は決めた。美織と人生忘れられないような夏の恋をすることを。
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