好感度を上げればボーナス仕様の乙女ゲーム世界で、攻略対象の王子様をメロメロにさせすぎてごめんなさいっ★

「ちょっと! 訳がわからないから、説明しなさいよ!」

 全員戸惑ったように一歩後ずさり、王太子との婚約を一秒で諦めると言い切った私に引いていた。私も彼女たちの驚きの反応は、もっともだと思った。

 おそらくは、彼女たちは私がここで『そんな……! 止めてください! 私は、カーヴィス様を愛しています!』などと、涙するだろうと想像していたはずだ。いわゆるテンプレ悲劇のヒロイン。

 実際は、その逆だった。だって、私はカーヴィス様と婚約したいと思っていたわけではない。

 ただ、好感度が上がるともらえるお金に目が眩んでいただけで、攻略対象者と恋愛したい結婚したいなんて、一切思っていない。

 貧乏がにくい……お金のある貴族の家に生まれていたら、あのピンクの巾着袋を持っていたとしても、よこしまなことは考えなかったはず……こんなにも面倒なことに巻き込まれることもなかった。

「なっ……あの、クラレンス子爵令嬢。貴女は……その、カーヴィス様と恋仲で、婚約して欲しいとねだったわけではないのですか?」

「それはっ……!」

 違うと言い掛けたところで、聞き覚えのある低い声が響いた。

< 16 / 23 >

この作品をシェア

pagetop