好感度を上げればボーナス仕様の乙女ゲーム世界で、攻略対象の王子様をメロメロにさせすぎてごめんなさいっ★
 この異世界に転生してきたと気が付いて、十数年。私は貴族の階級というものを身に染みて理解しているし、身分違いの恋愛の困難さを色々な噂話で思い知っている。

 恋愛関係には育ちや価値観が同じというのは、とてもとても大事な要素で、そこが大きく違ってしまうと大抵の場合上手くいかない。

 あまり幸せだったとは言えない前世だったので、出来るだけ苦労したくない。

 なので、私の目に見えている彼らは、いくら魅力的だろうと、好感度が上がればお金をくれる……それだけの存在だ。

「……ふふふ。けど、楽しかったな」

 公爵家の跡取りながら聖騎士であるローランは趣味が馬術なので、門外漢の私が知らないたくさんのことを知っていた。

「何が……楽しかったんだ?」

 不意に声がして私が立ち止まった。廊下の影になった部分からゆっくりと現れたのは、この国アルテミシア王国王太子カーヴィス殿下だった。

 長めの美しい金髪はゆるく巻かれ、濃い青色は深海を思わせた。整った双眉に切れ長の瞳、高い鼻に形の良い唇。うん。驚くほどの美形だけど、あまりに美形過ぎるがゆえに現実感がない。

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