銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
【エリーゼ視点】
結局、私の並外れた魔力適性と、前世の知識(薬草をアルコールに浸して成分を抽出する『チンキ』の概念や、衛生管理の重要性)が評価され、私は商業ギルド所属の「専属調剤師」として登録されることになった。
幸い、ギルド側も私の身元を深く詮索しない(リベルタではよくあることだ)と約束してくれた。
「やったわ、レオン! 私、自分の力で仕事をもらえた!」
ギルドの建物を一歩出たところで、私は嬉しさのあまり、今度はレオンの大きな手をぎゅっと握りしめていた。
ハッとして手を離そうとしたけれど、レオンの手が、私の手を逃がさないようにそっと包み込んで、そのまま固定した。
「……よくやった、エリーゼ。お前なら、どこに行っても立派に生きていけると思っていたよ」
レオンの琥珀色の瞳が、慈しむように私を見つめる。
繋がれた手の手のひらから、彼のゴツゴツとした、けれど温かい皮膚の感触が伝わってくる。
「レオンの手、あったかいね」
「……お前の手が、小さすぎるんだ」
そう言って、彼は繋いだ手を少しだけ強く握り直した。
まだ、お互いに「好き」だなんて言葉にはしていない。
私は、彼の過去をすべて包み込めるような強い相棒になりたいし、彼は、私が自由な世界を満喫するのを一番近くで見守りたいと思っている。
私たちは、繋いだ手を離さないまま、今日の市場へと歩き出した。
夕暮れ時のリベルタの街が、私たちの長い、長い旅路の始まりを、オレンジ色の優しい光で包み込んでいた。
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