銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした
婚約破棄、そして自由への疾走
転生から1年。ついに「その時」がやってきた。
王宮で開催された大夜会。
きらびやかな会場の中心で、ジュリアン王子は可憐な衣装に身を包んだ「聖女」の肩を抱き、私を指差した。
「エリーゼ・フォン・ヴァルハイト! 聖女に対する数々の嫌がらせ、および未来の王妃としての品格の欠如……よって、お前との婚約を破棄する!」
(えっ、嫌がらせ? 私、この1年レオンの看病と旅の準備しかしてないんだけど……ま、いっか! 好都合!)
周囲の貴族たちが私を蔑みの目で見つめる。私の父や兄も、冷酷に私から目を逸らした。
私は深く一礼し、顔を上げた時には、満面の笑みを浮かべていた。
「謹んで、婚約破棄をお受けいたします。ジュリアン殿下、どうぞその聖女様とお幸せに。ヴァルハイト公爵家とも、これをもって縁を切らせていただきます」
「な……っ!?」
引き留める声を背に、私はドレスの裾を翻して、夜会会場から駆け出した。
王宮の門を出ると、そこには馬車と、一人の男が待っていた。
仕立ての良い旅装に身を包み、銀色の髪と耳を夜風に揺らす、堂々たる体躯の騎士。レオンだ。彼の脚は、1年の療養を経て、今や完全に周囲の予想を裏切って完治していた。
「遅かったな、エリーゼ。待ちくたびれたぞ」
「ごめんなさい、ちょっと挨拶が長引いちゃって。……行きましょう、レオン! 私たちの世界へ!」
レオンは私を軽々と抱き上げると、御者台へと飛び乗った。
「御意、俺の小さな主。どこまでもお供しよう」
鞭が振るわれ、馬車は夜の闇を切り裂いて走り出す。
後ろに置き去りにしたのは、退屈な悪役令嬢のシナリオと、身勝手な婚約者。
目の前に広がるのは、満天の星空と、世界の果てまで続く果てしない道。
私はレオンの広い背中に寄り添いながら、心からの自由の風を、その胸いっぱいに吸い込んだのだった。
王宮で開催された大夜会。
きらびやかな会場の中心で、ジュリアン王子は可憐な衣装に身を包んだ「聖女」の肩を抱き、私を指差した。
「エリーゼ・フォン・ヴァルハイト! 聖女に対する数々の嫌がらせ、および未来の王妃としての品格の欠如……よって、お前との婚約を破棄する!」
(えっ、嫌がらせ? 私、この1年レオンの看病と旅の準備しかしてないんだけど……ま、いっか! 好都合!)
周囲の貴族たちが私を蔑みの目で見つめる。私の父や兄も、冷酷に私から目を逸らした。
私は深く一礼し、顔を上げた時には、満面の笑みを浮かべていた。
「謹んで、婚約破棄をお受けいたします。ジュリアン殿下、どうぞその聖女様とお幸せに。ヴァルハイト公爵家とも、これをもって縁を切らせていただきます」
「な……っ!?」
引き留める声を背に、私はドレスの裾を翻して、夜会会場から駆け出した。
王宮の門を出ると、そこには馬車と、一人の男が待っていた。
仕立ての良い旅装に身を包み、銀色の髪と耳を夜風に揺らす、堂々たる体躯の騎士。レオンだ。彼の脚は、1年の療養を経て、今や完全に周囲の予想を裏切って完治していた。
「遅かったな、エリーゼ。待ちくたびれたぞ」
「ごめんなさい、ちょっと挨拶が長引いちゃって。……行きましょう、レオン! 私たちの世界へ!」
レオンは私を軽々と抱き上げると、御者台へと飛び乗った。
「御意、俺の小さな主。どこまでもお供しよう」
鞭が振るわれ、馬車は夜の闇を切り裂いて走り出す。
後ろに置き去りにしたのは、退屈な悪役令嬢のシナリオと、身勝手な婚約者。
目の前に広がるのは、満天の星空と、世界の果てまで続く果てしない道。
私はレオンの広い背中に寄り添いながら、心からの自由の風を、その胸いっぱいに吸い込んだのだった。