銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした

銀の誓いと、新たな朝の光

【エリーゼ視点】
夜が明け、ガルハラの岩壁に朝焼けが差し込む。
獣人たちの国独特の、荒々しくもどこか清々しい空気の中で、私はレオンの胸に包まれて目を覚ました。
昨夜の宴の熱気と、月光の下で交わした激しい愛の記憶が、肌の感覚に鮮明に残っている。
前世の病院のベッドでは、朝を迎えるたびに「また一日、この白い天井を見上げるのか」という絶望感に襲われていたのに。今は、隣で眠る彼の力強い心音と、私の腰を抱きしめる大きな手の温もりを感じるだけで、心から「生きていてよかった」と思える。
「……おはよう、エリーゼ」
レオンが低く、心地よい声で囁きながら目を開けた。
琥珀色の瞳には、朝の光よりも眩しいほどの情愛が宿っている。彼は私の額に優しくキスをすると、そのまま私の首筋に鼻先を寄せ、深く吸い込んだ。
「んっ……レオン、くすぐったい……」
「お前からは、俺の匂いがする。……最高の気分だ」
彼は獣人らしく、満足げに喉をゴロゴロと鳴らした。
昨夜の情熱的な時間を通して、私たちは単なる「恋人」という枠を超え、魂の深くまで結びついた「番」になったのだと、その仕草一つひとつから伝わってくる。

ガルハラでの生活は、思っていたよりもずっと豊かで刺激的だった。
レオンは俺の国を案内してやると言って、集落の裏に広がる『咆哮の森』へと連れ出してくれた。
「見てくれ、エリーゼ。これがガルハラにしか自生していない『月光の雫』だ」
レオンが指さした先には、木漏れ日に反射して宝石のように光る、青白い小さな花が群生していた。
私は思わず駆け寄り、その花にそっと手をかざす。聖属性の魔力が触れた瞬間、頭の中に薬効が流れ込んできた。
「これは……! 傷口を一瞬で細胞レベルから癒す、最高級の止血剤になるわ!」
「お前のその知識と魔法があれば、この森の薬草も、俺たちの力だけでは作れなかった『奇跡の薬』に変わるだろう」
レオンは楽しそうに、そして誇らしげに私を見つめた。
ただ守られるだけじゃなく、私も彼らの暮らしに貢献できる。それが、私の「生きる意味」を確かなものにしてくれる。
「ねえ、レオン。この花を使って、もっとたくさんの獣人たちの怪我を治してあげたいの。そうすれば、レオンの仲間たちも、もっと私を信頼してくれるかしら?」
「すでに誰もがお前の虜さ。……昨夜の宴で、ガイルすら『レオンの番は、最高の調剤師だ』と認めていたからな」
レオンはそう言って、私の頬を優しく撫でた。
ガルハラの風は冷たいけれど、隣にいる彼の体温があれば、どんなに寒くても心はポカポカと温かい。
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