銀狼騎士は転生悪役令嬢と番になる運命でした

母親という奇跡、愛しい日常

【エリーゼ視点】
「んんっ……あぅ」
腕の中で、小さな銀色の髪の塊――長男のアルスが、小さな欠伸をこぼして私の胸元を指でつっつく。その隣では、次男のルカが、レオンの大きな人差し指を器用に掴んで、すやすやと穏やかな寝息を立てていた。
前世の私にとって、「母親になる」という言葉は、物語の中の遠い光景でしかなかった。冷たい病室のベッドの上、ただ静かに終わるのを待っていた私には、一生かかっても手に入らない、天地がひっくり返っても届かないはずの夢物語。
けれど、今は違う。
私のすぐ隣には、世界で一番強くて優しい、愛するレオンがいて。
私の腕の中には、彼との愛の結晶である二人の命が、確かな温もりとして息づいている。
「ねえ、レオン。……私、今でも時々不思議に思うの。これは夢なんじゃないかって」
窓から差し込むガルハラの柔らかな陽光の中で、私はレオンの肩に頭を預けて呟いた。レオンは、アルスとルカを交互に愛おしげに見つめながら、私を抱きしめる腕に一層力を込める。
「夢じゃない。お前が掴み取った、お前の人生だ。……それに、お前を母にしてのは俺だが、お前が俺を父親にしてくれたんだぞ。感謝しているのは、俺の方だ」
レオンの琥珀色の瞳が、慈愛に満ちて私を捉える。
彼は本当に、私の前世の孤独をすべて埋めてくれるほど、惜しみなく愛を注いでくれる人だ。
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