恋愛偏差値0.01。ー恋愛初心者溺愛されますー【完】

31.同じ香り

目を開けると景色が違う。
脱衣場に向かい、顔を洗う。
鏡の中の私が変わった感じがするのは、気のせいだろうか。
リビングに続く扉を開けると、焼き立てのパンの匂いが食欲を刺激する。 
「……おはよう」
キッチンに立っていたのは、迅さん。
「あ、おはようございます」
「……悪い。面倒な役、頼んでいい?」
「……大丈夫です」
迅さんは、少し考えたような表情を浮かべた。
「……凪。寝起き悪いけど、起こせる?」
「……あ、はい」
凪くんの部屋へ向かう。
三度ノックしても返事はない。
「おじゃまします」
そっと中へ入ると、ベッドに近付く。
凪くんはタオルケットに包まれて、スヤスヤと眠っている。
銀色の髪。
睫毛の影。
白い肌。
息を飲むほど綺麗だ。
「凪くん。起きて下さい」
寝顔に見惚れながら、そう口にする。
凪くんの肩に手を伸ばし、そっと揺する。
「んーーっ」
凪くんが薄目を開けて、私をボーッと見ている。
「起きましたか?朝ですよ?」
一瞬だった。
眠ったままの凪くんが私の腕を掴む。 「きゃっ……!」 視界がぐらりと揺れ、私はそのままベッドへ倒れ込んだ。
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