偽装結婚の相手は疑い深い脳外科医でした
「だったらさっき言ってた恋人とか結婚って、嘘なの?」
「長谷が……電話していた相手が俺がひとりじゃないとわかって、恋人と一緒なのか、結婚でもするのかってしつこいから、つい言ったって感じだな」
咲良手作りのスイートポテトを口に運びながら、遥人は彩子に答えた。
これまでに彩子が遥人から聞き出した話によると、同僚の長谷という女性の医師からこれから会えないかとしつこく誘われ、困っていたところに食器が割れる音がスマホ越しに相手に届いたことがきっかけで、そういう流れになったらしい。
今までにも頻繁に誘われそのたび断っていたそうだが、彼女は遥人にアプローチをかけ続けているということだ。
「恋人がいるなんて嘘をついて。遥人のことをあきらめてくれれば問題ないけど、恋人を紹介しろとか言い出すかもよ」
「まあ、この後のことは、なんとかする」
そう言いつつも、遥人の表情は冴えない。
――私のせいだ。
「すみません。私が食器を割っちゃって、こんなことに」
咲良はたまらず頭を下げた。
「なに言ってるの。かなり前から彼女に言い寄られてるから気にしなくていいわよ。ね、遥人」
体を小さくする咲良に、彩子はなんてことないように朗らかに笑う。
「俺の問題だ、君が気にすることじゃない。それより、気を遣わせて俺の方こそ申し訳ない」
遥人もサラリと答えると、気持ちを切り替えようとしてか両手を軽く上げて体を伸ばした。
「それにしても遥人も咲良ちゃんも大変ね。結婚したことがない私には、よくわからない話だけどね」
「俺と彼女?」
遥人が首を傾げる。
「そうよ。遥人と咲良ちゃん」
「私は結婚じゃなくてお見合いだから、断ればいいので……大丈夫です」
父に送った断りのメッセージには既読がついただけで返事はなく、その沈黙が不気味でならないけれど。
「そうだ。咲良ちゃん、遥人と結婚しない?」
彩子はぱあっと顔をほころばせ、声をあげた。
「え?」
咲良はきょとんとする。
「またなにおかしなことを言い出すんだよ。酔っ払い」
遥人があきれ顔でため息を吐いた。
「長谷が……電話していた相手が俺がひとりじゃないとわかって、恋人と一緒なのか、結婚でもするのかってしつこいから、つい言ったって感じだな」
咲良手作りのスイートポテトを口に運びながら、遥人は彩子に答えた。
これまでに彩子が遥人から聞き出した話によると、同僚の長谷という女性の医師からこれから会えないかとしつこく誘われ、困っていたところに食器が割れる音がスマホ越しに相手に届いたことがきっかけで、そういう流れになったらしい。
今までにも頻繁に誘われそのたび断っていたそうだが、彼女は遥人にアプローチをかけ続けているということだ。
「恋人がいるなんて嘘をついて。遥人のことをあきらめてくれれば問題ないけど、恋人を紹介しろとか言い出すかもよ」
「まあ、この後のことは、なんとかする」
そう言いつつも、遥人の表情は冴えない。
――私のせいだ。
「すみません。私が食器を割っちゃって、こんなことに」
咲良はたまらず頭を下げた。
「なに言ってるの。かなり前から彼女に言い寄られてるから気にしなくていいわよ。ね、遥人」
体を小さくする咲良に、彩子はなんてことないように朗らかに笑う。
「俺の問題だ、君が気にすることじゃない。それより、気を遣わせて俺の方こそ申し訳ない」
遥人もサラリと答えると、気持ちを切り替えようとしてか両手を軽く上げて体を伸ばした。
「それにしても遥人も咲良ちゃんも大変ね。結婚したことがない私には、よくわからない話だけどね」
「俺と彼女?」
遥人が首を傾げる。
「そうよ。遥人と咲良ちゃん」
「私は結婚じゃなくてお見合いだから、断ればいいので……大丈夫です」
父に送った断りのメッセージには既読がついただけで返事はなく、その沈黙が不気味でならないけれど。
「そうだ。咲良ちゃん、遥人と結婚しない?」
彩子はぱあっと顔をほころばせ、声をあげた。
「え?」
咲良はきょとんとする。
「またなにおかしなことを言い出すんだよ。酔っ払い」
遥人があきれ顔でため息を吐いた。