素のまま恋


最初は不良絡みで出会って、旅館で再会して、バーカなんて送られて……なんなの!って思ってた。

レッスンの度にけなされて、言い返したりして、私が貴公子のことを好きになるなんてこと想像していなかったし、貴公子が私を好きになってくれることも……。

でも今じゃあの貴公子が、


素の私も好き、って面と向かって言ってくれた。

心の中で反芻(はんすう)すると、不思議と嬉しさが込み上げてくる。


だったら、私の答えは──


「私も……まあまあ好きって言っとく。どっちの貴公子もことも」


そっと同じように震える手で、指輪を手のひらの中におさめ、また素直になれなくて可愛げのない返事をした。
それでも目の前の貴公子は、顔を赤らめてくれる。


「マ、ジか。……はあー!こういうの、柄じゃねぇんだよっ……ほんとに!あー!安心したわ!!マジで!」


頭を掻き、しゃがみこむ貴公子。
貴公子とはちょっと違うかもだけど、人生の中で一、二をあらそう緊張感だった……。


「……みなもりー」


気の抜けた声で私を呼ぶ貴公子は、私を見上げながらまた手を伸ばしてきた。
だからぎこちなく、握ってみると、


「わっ!?」


下へと引かれ、隣にしゃがませられる。


「……近いってば」

「いいじゃねぇか、もう俺のだからな。……っていつもみたいに振る舞ってみたけど、やっぱ無理っぽいわ。顔あちぃし、心臓うるせぇからよ」

「わかる」

「だから、おさまるまでもう少しここにいようぜ」

「……おう」
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