素のまま恋
家に貴公子招くの!?
断って、お願いだよ貴公子。
「それなら是非」
私の念もむなしく──爽やかな笑顔で頷いた貴公子を連れ、裏の我が家へ。
何の変哲もないごく普通の一軒家。
普段あまり人を呼ばないんだけど……お母さんがあんなこと言うから。
「表からは全然見えねぇのなこの家」
「あえてよ、あえて。リビング着いたら適当に座──」
「お前の部屋どこ」
キョロキョロとしだす貴公子に、地味に警戒心が生まれる。
「入れるわけないでしょ」
「いいじゃんかよ。減るもんじゃねぇんだから」
「断る」
「ふうん、まさかと思うがヤバイほど散らかってる、とか?」
「違いますが?って、あ!階段のぼるな!」
私がよそ見した隙に階段走ってのぼっていく貴公子。追いかけるも、着物じゃ不利だった。
──帯苦しっ……。
「って、ちょっと、女子の部屋に勝手に入るとは何事……」
すでに私の部屋を見つけ中にいた貴公子は、あるものを手にしていた。
それは、私の子供の頃の写真。
お母さんが着ていた着物を身に付け、遊び半分に旅館の手伝いをしていた頃の。
楽しそうにニコニコしている私の写真を。
普段から机に伏せてあるのに、見られてしまった。
「……なに、人の写真まじまじと見て。今と違うとかそういうこと?」
この頃はこんなつっけんどん要素なんか、なかったのにな。