素のまま恋


温かいラテを飲みながら。


「ねぇ詩姫」

「なあに」


改まるように、ラテのマグカップを置く杏奈に私は真面目な話でもするのかと、同じようにマグカップを置いた。


「詩姫はさ……卒業したら、やっぱり旅館で女将修行するの?」


それは……私が、ずっと悩んできたこと。

貴公子にも話したことがあった。
本当にそれでいいのか、って。

でも、もう私は三年生で……しかももう少しで年が明けて、それから卒業が待っている。

進路はほとんど決まっていないといけないでしょ。

それでも、杏奈は何か私の悩みを察してくれていたのか、進路の話を今の今まで一切振ってきていなかった。


「……うん、そうするつもり。杏奈は実家のパン屋さん?」

「うん。わたしはほら……勉強苦手だし?今の学校に受かったのも奇跡!ってくらいで。これ以上お勉強はしたくないなぁ、と」

「そっか。なら、沢山買いに行くから。サービスしてよ?」


半分冗談半分本気くらいの気持ちで伝えると、杏奈は一瞬だけ笑って、俯いてしまう。


「……杏奈?どうかしたの?」


尋ねると、困ったように眉を垂らす。
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