素のまま恋


卒業すれば、私は修行に集中するから華道とはおさらばになるはず。

貴公子とは旅館で会うくらいになる。
そうなって、会う頻度や話す頻度が減っていけば……そのうち私のこの気持ちも薄れ、やがて消えてくれるだろう。










「んふふ」



お昼、机を合わせてお弁当を食べていれば不意に杏奈が笑った。


「……一応聞くけど、その笑みの意味は?」

「周りは忙しそうだけど、わたしたちは忙しくないなぁって」


そういうことか。

確かに、勉強に加え、次の生活に向けて一人暮らしやスーツといった準備で毎日のようにどうしてる?という会話がとびかっている。


「そういやさ、あの件の真相はどうなの?」

「あの件?」

「カフェから見た貴公子殿と……女の子」

「真相もなにも、彼女じゃないの?貴公子が女の子といるってだけでレアな光景よ」


私はお母さんがレッスンを受けろと言ったから、その都合で一緒にいることがあるだけ。
けれど、あの子はきっと違う。


「……いいの?」


本当は好きなんだよね?──杏奈が気を遣ってか、声のトーンを下げて私へとそう言った。


ええ、好き。

好きなんだろう、私は。貴公子のことを。

でも、いいの。


「三角関係とかごめんなの。それに、卒業すればそこまで顔を合わせることもないし……修行に集中すればいいことよ。杏奈とも沢山遊ぶんだから」
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