エリート同期は私の初恋でした
昼休憩を終え、それぞれが持ち場へ戻る。

午後の営業部は、午前中とは違う静けさに包まれていた。

外回りへ出ている営業さんが多く、フロアにはパソコンのキーボードを打つ音だけが響いている。

私は営業さんから頼まれていた見積書を作成しながら、メールの返信を済ませていく。

「櫻井さん。」

名前を呼ばれ顔を上げると、そこには佐竹さんが立っていた。

「高橋主任から、資料の保管場所は櫻井さんに聞いてと言われまして……。」

「あ、分かりました。ご案内しますね。」

パソコンをスリープ状態にして席を立つ。


「資料室はこっちです。」

廊下を並んで歩く。

まだ少しぎこちない空気。

それでも、不思議と気まずさは感じなかった。

資料室は、同じフロア内にあるからすぐ着いた。
「資料は、年度別に保管していてファイルも案件毎に分けてあります。」

「なるほど。めちゃくちゃ綺麗に保管してありますね。
見やすいです、ありがとうございます。」

「良かったです。では、私はこれで。」

そう言って、出ようとすると
「櫻井さん。」

意味深げに佐竹さんに呼び止められる。

「…何かありましたか?」

「あ、いや。部長から同期って聞いたんですけど、敬語でさん付けだと少し距離ある気がして。」

「確かにそうですね…。じゃあ、お互い呼び捨てにします?仕事中は敬語崩せませんけど。」

「…ありがとうございます」

そういうと、どこか嬉しそうな、それでいて少し寂しそうな表情。

(……変な人。)

初対面なのに、どこか懐かしい空気をまとっている。

そんなことを思いながら、私は資料室を後にした。
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