片想いが終わる頃、恋が始まる。【完】
***


───それからはもう、怒涛の展開だった。



俺が翡翠に気持ちを伝えてから、早一ヶ月。

二人はめでたく、結婚の式を挙げた。




愛する息子と娘の結婚式だからだろうか。

普段はあんなに威厳のある組長が号泣して、周囲の組員たちを大慌てさせていたり。


高瀬組の未来を担う"若頭"と"お嬢"の門出ということもあって、会場はこれまでにないほどの大盛況だった。





正直、まだ完全に翡翠への気持ちが吹っ切れたわけじゃない。


……幸せそうに隣同士で並ぶ二人を見て、胸の奥がちくりと痛まなかったと言えば、嘘になるけれど。



……だけど、それよりも。


もう一度、翡翠のあんなに幸せそうな笑顔を見ることができた。


"あの時、葵の背中を押して、本当によかった"



そう思えるくらいには立ち直れている自分に、小さく息を吐いて、ホッとした。










「──紺」



不意に響いた声に顔を上げると、グラスを片手にした葵と、白無垢姿で頬を染めた翡翠が、俺のテーブルへと歩み寄ってくるところだった。




綺麗なドレスに身を包んだ翡翠は、世界で一番美しくて、一瞬だけ視界が眩む。


……だけど俺は、すぐにいつもの柔らかい笑みを浮かべて立ち上がった。



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