ルーチェに恋をして
長く色々書かれてはいたが、簡単に言えば執事の欠員、及び執事長の安西がギックリ腰により腰痛悪化。
執事制度が機能しなくなった為、廃止するという内容。
そもそも執事制度に関しては学校側でもやりすぎではないかと問題になっていたらしい。
「だ、だからって今このタイミングで……」
文乃は絶望した。
安西が居ない。
つまり、
食事の準備や必要なものは今から全て自分でやらなくてはならない。
文乃の体が先を悟るように白く染まる。
あぁ、まだ朝ごはんも食べていないのに……。
彼女の快適スクールライフは終わりを告げた。
*
拝啓、お父さんお母さん そして村田さん。
お元気ですか?
私は今、
「お腹が空きすぎて死にそうです……」
執事制度廃止の連絡から丸二日。
部屋から出て食堂に向かう勇気のなかった文乃はまだ自室に引きこもっていた。
あの連絡から食事は自分で一階の食堂に行って食べるか取りに行くか、飲み物はまだ自室の冷蔵庫にあったので生きていられたが、そろそろ補充しなければ空になってしまう。
絶体絶命。
このまま引きこもり干からびるか、外に出て食事を取りに行くかの二択だった。
まだ十五歳。
読みたい小説も漫画も沢山ある。
書きかけの新作も進めなければ待ってくれている読者に申し訳ない。
グゥーー。
お腹も早く栄養をくれと叫んでいる。
……頑張れ、私。
中学の校門前でお腹を痛めていた時に比べたら寮の食堂なんて怖くない……。
必死に自分を鼓舞するように拳を握る。
震える体を支えながら、文乃は一ヶ月触れることのなかった扉を開けて外へ出た。


