約束は、千年の時を超えて

最終話 出会い

見知らぬ世界へ迷い込んだ。

空も、風も、人々の装いも、何もかもが私の知るものとは違っていた。

ここは、いったいどこなのだろう。

考えようとしても、心は空っぽだった。

胸を満たしているのは、ただ一つ。

かるを失った悲しみだけ。

私は力なくその場にしゃがみ込み、
大きな柱へ背を預ける。

「ここまで来ても……何も守れなかった」

そう呟いた、その時だった。

懐かしい香りがして、振り返る。

そこにいたのは、
かるによく似た面影を持つ一人の女性だった。

一瞬、時間が止まる。

私は思わず立ち上がり、
急いでその女性の肩に手を置いていた。

しかし女性は、怯えたようにこちらを見ている。

私は言葉を失った。

目の前にいるのは、かるによく似た女性。

だが、その瞳には、私を知る色はなかった。
< 19 / 19 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

私が拾ったのは、千年前の皇子様でした

総文字数/94,867

恋愛(ラブコメ)136ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
26歳、普通のOL・高瀬千紘。 毎日満員電車に揺られ、パワハラ上司に耐えながら、東京で代わり映えのない日々を送っていた。 そんなある夜、千紘は街中で奇妙な男を拾う。 長い黒髪に古代の衣。 そして彼は、千紘を見るなりこう言った。 「やっと会えた。我が愛しき妹よ」 男の正体は、古墳時代に実在した悲劇の皇子――木梨軽皇子。 皇位継承争いに敗れ、妹・軽大娘皇女と共に悲しい最期を迎えた人物だった。 突然始まった、古代皇子との同居生活。 テレビに驚き、シャンプーに感動し、恋愛映画に大号泣する悠真(仮名)に、振り回される毎日。 けれど、不器用で真っ直ぐな優しさに触れるたび、千紘の心は少しずつ変わっていく。 そして千紘自身もまた、夢の中で“軽大娘皇女”としての記憶を見始め――。 これは、千年以上の時を超えて巡り合った二人の、切なくて甘い恋の物語。
白雪姫の王子様

総文字数/83,746

恋愛(純愛)146ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
生きる意味なんて、なかった。 でも、君に出会ってーー 俺は、はじめて“生きたい”と思った。 俺は“君の王子様“になる。 現代版・白雪姫。 切なくて、優しい、命と恋の物語。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop