約束は、千年の時を超えて
第2話 兄弟の絆
「兄う……いえ、皇太子様。」
ひこは言い直し、静かに頭を下げた。
「兄上でよい、ひこ」
私は苦笑しながらそう告げる。
「ですが、皇太子様はいずれ帝となられるお方です。これまでのようにお呼びするわけにはまいりません」
「我は、お主たち兄弟とは昔のままでいたいのだ」
ひこは一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべたが、
すぐに微笑んだ。
「何をおっしゃいますか。今日は姉上の晴れの日なのですよ」
「ああ……そうであったな」
長女・名形大娘皇女は、国のため、有力豪族へ嫁ぐこととなった。
それは皇族として生まれた者の務め。
この頃から、私たち兄弟姉妹は、それぞれが政治の一部として生きる道を歩み始めていた。
そして皇太子である私は、人を守るだけではなく、
ときに人を動かし、国を治める立場にならねばならない。
「兄弟とは……何なのであろうな」
思わず漏れた独り言に、ひこが首を傾げる。
「皇太子様?」
「いや、何でもない」
私は静かに首を振った。
「さあ、今日くらいは姉上を笑顔で送り出して差し上げましょう」
「ああ。そのとおりだな」
私は小さくうなずき、
皆の待つ宴の間へと歩き出した。
ひこは言い直し、静かに頭を下げた。
「兄上でよい、ひこ」
私は苦笑しながらそう告げる。
「ですが、皇太子様はいずれ帝となられるお方です。これまでのようにお呼びするわけにはまいりません」
「我は、お主たち兄弟とは昔のままでいたいのだ」
ひこは一瞬だけ寂しそうな表情を浮かべたが、
すぐに微笑んだ。
「何をおっしゃいますか。今日は姉上の晴れの日なのですよ」
「ああ……そうであったな」
長女・名形大娘皇女は、国のため、有力豪族へ嫁ぐこととなった。
それは皇族として生まれた者の務め。
この頃から、私たち兄弟姉妹は、それぞれが政治の一部として生きる道を歩み始めていた。
そして皇太子である私は、人を守るだけではなく、
ときに人を動かし、国を治める立場にならねばならない。
「兄弟とは……何なのであろうな」
思わず漏れた独り言に、ひこが首を傾げる。
「皇太子様?」
「いや、何でもない」
私は静かに首を振った。
「さあ、今日くらいは姉上を笑顔で送り出して差し上げましょう」
「ああ。そのとおりだな」
私は小さくうなずき、
皆の待つ宴の間へと歩き出した。