同居人がめんどくさい
部屋に着くと、亜紀さんが鍵を開けた。

ガチャという音と共に、玄関の扉が開く。

「どうぞ〜。」

そう言われて、招き入れられる。

一歩中に入ると、他所の家に来たと思わせる匂いがした。

「こっちがリビングだからね。」

亜紀さんはスーツケースを玄関に置くと、奥まで続く廊下をずんずんと歩いていく。

ここまで来てしまったのに、どうぞと言われても、いざ入るとなると、本当に上がってしまっていいのか戸惑う。

「何してるの、香恋ちゃん。入って、入って。」

いつまでもリビングに来ない私の様子を伺って、亜紀さんがリビングの扉から顔を覗かせる。

「あ、はい。お邪魔します。」

本当に上がってしまっていいのだろうかという不安を抱えながら、おずおずと部屋に上がる。

リビングに入ると、亜紀さんがキッチンで飲み物を準備してくれていた。

「はい、麦茶どうぞ。」

そう言って、麦茶の入った透明なコップをテーブルの上に置く。

「何もない部屋なんだけど、自由に使ってね〜。」

と亜紀さんが笑う。

亜紀さんたち家族が暮らしているとは思えないほど、綺麗に整頓された生活感のない部屋だった。

まるでホテルのよう、という比喩が比喩ではなくなるほどに綺麗な部屋だ。

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