同居人がめんどくさい
困惑した表情で男を見る。

男も私の表情から言いたいことを理解したようで、

「すみません、混乱させてしまいましたよね。」

と気恥ずかしそうに視線を逸らした。

亜紀さんはこんなこと一言も言ってなかった。

さっきまでの、どこで、誰と住むかについての話は、私も確認をちゃんとしなかったところはよくなかったと思ってる。

でも、これは...言われなければ、気づきようがない。

こんな交換条件が秘められてたなんて。

「彼女と言っても、フリだけでいいんです。」

男は少し困ったような表情を浮かべて言う。

「フリだけ?」

男の言ったことを繰り返しながら、頭の中で咀嚼する。

フリだけ、とはどういうことだろうか。

彼女にはならなくていいから、彼女っぽいことをしろってこと?

彼女っぽいことって何...?

頭の中で、恋人同士ですることを思い浮かべる。

ご飯を作って欲しい、とか...?

あんなに美味しい料理を作れる人が??

料理以外のハウスキーピング的な家事をやって欲しい、とか...?

部屋を眺める。

こんなに整頓されたゴミひとつないような空間で...??

思い当たるものに該当しそうなものが何一つとして見当たらない。

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