ひまわりが咲く場所で
「相葉先生、302号室の患者さんの検温、終わりました!」
「ありがとう。あとの経過観察は俺が診ておくよ」
ナースステーションの中で、俺たちの声が交わされる。
彼女がこの病棟に配属されてから、数ヶ月が経った。仕事は想像以上にハードで、時には失敗して落ち込んでいる彼女の姿を見かけることもある。
だけど、今のあの子はもう、一人で暗闇にうずくまっていたあの頃の女の子じゃない。
涙を拭って、すぐに「次は頑張ります!」と前を向くその強さは、やっぱり俺の大好きなあの人の魂そのものだった。
その日の夕方、すべての回診を終えた俺は、病院の屋上へと足を運んだ。
オレンジ色から深い群青色へと移り変わる美しい夕焼けが、空いっぱいに広がっている。
「……綺麗な夕焼けですね、相葉先生」
振り返ると、仕事を終えた彼女が、少し疲れた、だけど充実した笑顔で立っていた。
「ああ、本当に綺麗だな」
俺は白衣のポケットの中で、ずっと大切に持っているふたつの星のキーホルダーにそっと触れた。
今でも、彼女があの莉緒としての記憶を取り戻したわけじゃない。俺たちの関係は、あくまで「同じ志を持つ医師と看護師」だ。
だけど、それでいい。
いや、それがいいんだ。
前世で叶えられなかった未来を、俺たちは今、この場所で新しく作り直している。
病気に怯えることも、理不尽な運命に涙することもない。自分たちの足で立ち、自分たちの手で誰かの命を救う、そんな最高に輝かしい今を生きている。
「私、相葉先生みたいに、患者さんの心に寄り添える医療従事者になりたいです」
真っ直ぐに夕日を見つめる彼女の横顔に、俺は心の中で、そっと、だけど確かに語りかけた。
(莉緒。お前がくれたたくさんの優しさと、生きるっていう強い願いは、ちゃんと今、ここで大輪の花を咲かせてるよ)
「お前なら、きっといい看護師になれる。……さあ、明日も早い。戻ろうか」
「はい!」
二人の歩幅がぴったりと重なる。
俺たちの目の前には、あの日夢見たひまわり畑のように、どこまでも温かくて、眩しい未来が広がっていた。
「ありがとう。あとの経過観察は俺が診ておくよ」
ナースステーションの中で、俺たちの声が交わされる。
彼女がこの病棟に配属されてから、数ヶ月が経った。仕事は想像以上にハードで、時には失敗して落ち込んでいる彼女の姿を見かけることもある。
だけど、今のあの子はもう、一人で暗闇にうずくまっていたあの頃の女の子じゃない。
涙を拭って、すぐに「次は頑張ります!」と前を向くその強さは、やっぱり俺の大好きなあの人の魂そのものだった。
その日の夕方、すべての回診を終えた俺は、病院の屋上へと足を運んだ。
オレンジ色から深い群青色へと移り変わる美しい夕焼けが、空いっぱいに広がっている。
「……綺麗な夕焼けですね、相葉先生」
振り返ると、仕事を終えた彼女が、少し疲れた、だけど充実した笑顔で立っていた。
「ああ、本当に綺麗だな」
俺は白衣のポケットの中で、ずっと大切に持っているふたつの星のキーホルダーにそっと触れた。
今でも、彼女があの莉緒としての記憶を取り戻したわけじゃない。俺たちの関係は、あくまで「同じ志を持つ医師と看護師」だ。
だけど、それでいい。
いや、それがいいんだ。
前世で叶えられなかった未来を、俺たちは今、この場所で新しく作り直している。
病気に怯えることも、理不尽な運命に涙することもない。自分たちの足で立ち、自分たちの手で誰かの命を救う、そんな最高に輝かしい今を生きている。
「私、相葉先生みたいに、患者さんの心に寄り添える医療従事者になりたいです」
真っ直ぐに夕日を見つめる彼女の横顔に、俺は心の中で、そっと、だけど確かに語りかけた。
(莉緒。お前がくれたたくさんの優しさと、生きるっていう強い願いは、ちゃんと今、ここで大輪の花を咲かせてるよ)
「お前なら、きっといい看護師になれる。……さあ、明日も早い。戻ろうか」
「はい!」
二人の歩幅がぴったりと重なる。
俺たちの目の前には、あの日夢見たひまわり畑のように、どこまでも温かくて、眩しい未来が広がっていた。