転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境で幸せになります!~
★
その日の夜。
中継地点となる大きめの宿場町に到着した私たちは、安い宿に部屋を取った。
私は部屋の窓枠に肘をつき、夜空に浮かぶ月をぼんやりと見上げていた。
王都までは、まだ何日もかかる。
(レオンさん……今頃、何してるのかな)
彼は王族。
おまけに、息を呑むほど綺麗でかっこいい。
王位継承争いの真っ只中とはいえ、あんなに素敵な人なのだから、王宮で綺麗なお姫様たちとお見合いとかさせられていてもおかしくない。
(他の女の人が、あの大きな背中に触れたりしてるのかな……)
そう想像しただけで、胸の奥がちくりと痛んだ。
ヤキモキして、会いたい気持ちばかりが募っていく。
『きゅるん。主よ、また湿気った顔をしておるぞ』
「……ごめんね、シロ。早く王都に着かないかなって、ちょっと考えちゃって」
私はシロの温かい黒鉄の鱗を撫でながら、レオンさんの不器用で優しい笑顔を思い浮かべていた。
★
翌朝は、まだ空が暗いうちから、私たちは宿を出発した。
「夜明け前に出発すれば、宿で朝食代を追加徴収されずに済みますからね」
「最高だユフィ君! 時は金なり、さっさと出発しよう!」
朝食代を浮かすため、意気揚々と馬車を走らせる私たち。
――しかし。
私たちが宿場町を出発した、ほんの数時間後に事件は起きていたらしい。
「ひ、ひぃぃ……っ!?」
宿場町の朝の穏やかな空気は、突如として現れた黒い軍馬の群れと、世界を凍りつかせるような凄まじい『殺気』によって完全に制圧されていた。
先頭に立つのは、一切の感情を排した翡翠色の瞳を持つ、死神のような騎士。
「……探せ。必ずこの町のどこかにいるはずだ」
第二王子レオンティウスの絶対零度の声に、私兵の騎士たちが一斉に町中へ散っていく。
レオンティウスは、震え上がっている宿の主人を冷たく見下ろした。
「肩に、黒いトカゲを乗せた少女を見なかったか」
「ひっ! み、見ました! 今朝まで、うちに泊まっておりまして……!」
「本当か!」
レオンティウスの表情が一瞬にして狂喜に染まる。
「どっちへ行った! ユフィは無事なのか!」
「は、はい……あの、金髪の、すごく顔の良い商人風の男の人と、楽しそうに笑いながら、暗いうちに馬車で出発を……」
宿のカウンターが、一瞬で凍りつく。
「……男と、だと?」
レオンティウスから立ち上る吹雪が、先ほどとは比べ物にならない終末のレベルへと跳ね上がる。
背後で精神からくる頭痛でこめかみを押さえていたシオンが「ああっ! 殿下の嫉妬で町が凍りつく!」と悲鳴を上げた。
「追え。その商人の馬車を、氷の粒一つ残さず粉砕しろ……!!」
レオンティウスは、血走った目で馬を反転させた。
だがしかし――シロの『絶対隠蔽結界』が完璧に機能しているせいで、魔力による追跡の足取りは全く掴めない。
こうして、究極のニアミスを果たした二人のすれ違いは、さらに拍車をかけていく――。
その日の夜。
中継地点となる大きめの宿場町に到着した私たちは、安い宿に部屋を取った。
私は部屋の窓枠に肘をつき、夜空に浮かぶ月をぼんやりと見上げていた。
王都までは、まだ何日もかかる。
(レオンさん……今頃、何してるのかな)
彼は王族。
おまけに、息を呑むほど綺麗でかっこいい。
王位継承争いの真っ只中とはいえ、あんなに素敵な人なのだから、王宮で綺麗なお姫様たちとお見合いとかさせられていてもおかしくない。
(他の女の人が、あの大きな背中に触れたりしてるのかな……)
そう想像しただけで、胸の奥がちくりと痛んだ。
ヤキモキして、会いたい気持ちばかりが募っていく。
『きゅるん。主よ、また湿気った顔をしておるぞ』
「……ごめんね、シロ。早く王都に着かないかなって、ちょっと考えちゃって」
私はシロの温かい黒鉄の鱗を撫でながら、レオンさんの不器用で優しい笑顔を思い浮かべていた。
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翌朝は、まだ空が暗いうちから、私たちは宿を出発した。
「夜明け前に出発すれば、宿で朝食代を追加徴収されずに済みますからね」
「最高だユフィ君! 時は金なり、さっさと出発しよう!」
朝食代を浮かすため、意気揚々と馬車を走らせる私たち。
――しかし。
私たちが宿場町を出発した、ほんの数時間後に事件は起きていたらしい。
「ひ、ひぃぃ……っ!?」
宿場町の朝の穏やかな空気は、突如として現れた黒い軍馬の群れと、世界を凍りつかせるような凄まじい『殺気』によって完全に制圧されていた。
先頭に立つのは、一切の感情を排した翡翠色の瞳を持つ、死神のような騎士。
「……探せ。必ずこの町のどこかにいるはずだ」
第二王子レオンティウスの絶対零度の声に、私兵の騎士たちが一斉に町中へ散っていく。
レオンティウスは、震え上がっている宿の主人を冷たく見下ろした。
「肩に、黒いトカゲを乗せた少女を見なかったか」
「ひっ! み、見ました! 今朝まで、うちに泊まっておりまして……!」
「本当か!」
レオンティウスの表情が一瞬にして狂喜に染まる。
「どっちへ行った! ユフィは無事なのか!」
「は、はい……あの、金髪の、すごく顔の良い商人風の男の人と、楽しそうに笑いながら、暗いうちに馬車で出発を……」
宿のカウンターが、一瞬で凍りつく。
「……男と、だと?」
レオンティウスから立ち上る吹雪が、先ほどとは比べ物にならない終末のレベルへと跳ね上がる。
背後で精神からくる頭痛でこめかみを押さえていたシオンが「ああっ! 殿下の嫉妬で町が凍りつく!」と悲鳴を上げた。
「追え。その商人の馬車を、氷の粒一つ残さず粉砕しろ……!!」
レオンティウスは、血走った目で馬を反転させた。
だがしかし――シロの『絶対隠蔽結界』が完璧に機能しているせいで、魔力による追跡の足取りは全く掴めない。
こうして、究極のニアミスを果たした二人のすれ違いは、さらに拍車をかけていく――。

