オタクな秘書の攻略方法〜来る者拒まず去る者追わずだった同期に一途に溺愛される
第61話 嫉妬と泥棒猫
「――あら、あなたが神尾一課長? 噂通り、とっても素敵な方ね」
合同レセプションの煌びやかな会場。
控室での甘い密会から数十分後、常務の背後に戻った真白の視界に、最悪なノイズが飛び込んできた。
蓮に話しかけているのは、今回の共同プロジェクトで最大の発言力を持つ、取引先大手グループ企業の会長令嬢・西園寺麗香(さいおんじ れいか)。
背中が大きく開いた派手な赤いドレスを身に纏い、いかにも「欲しいものはすべて手に入れてきた」と言わんばかりの高慢な笑みを浮かべている。
「恐縮です、西園寺様。お目にかかれて光栄です」
蓮はいつもの完璧なビジネススマイルで応じている。だが、麗香はそんな彼の態度を都合よく解釈したのか、距離をぐっと詰めると、あろうことか蓮の逞しい二の腕に自分の胸を押し付けるようにベタベタと抱きついた。
「ねえ、今回のプロジェクト、私がお父様にお願いして特別に参加させてもらうことにしたの。これから毎日、オフィスで会えるわね?」
「……それは、心強い限りです」
蓮は相手が取引先の令嬢であるため無下に引き剥がすこともできず、引きつらない笑顔を保つのが精一杯という様子だった。
その灰色の瞳は、助けを求めるようにチラリと真白へと向けられる。
しかし。
(……ベタベタ、ベタベタ触って……。私の蓮さんなのに。何よあの泥棒猫……!)
いつもなら、困っている彼を秘書の手腕でスマートに助け出すはずの真白だった。
だが、今夜は違った。
美咲の時のように「彼を信じられない」という不安は一ミリもない。目の前の男が、心も体も自分だけのものだと知っている。
だからこそ――純粋に、猛烈に、腹が立っていた。
真白は無意識のうちに、キュッと可愛らしく唇を尖らせて蓮を睨みつけていた。
真白の「ぷんぷんモード」が、自分への独占欲と嫉妬という形で炸裂している。
それを見た蓮は、頭の中で何かが激しく弾け飛ぶ音がした。
(――っ!!!? 真白が、嫉妬して拗ねてる……!?)
「えっ、神尾さん? 急にどうしたの? お顔が少し赤いけれど……」
「い、いえ、西園寺様。少々会場が暑いようですので、失礼いたします」
麗香が不思議そうに覗き込んでくるが、蓮の脳内は完全にキャパシティをオーバーしていた。
今すぐに麗香を突き飛ばして、真白を抱きしめて「可愛い、愛してる、大好きだ」と叫び散らかしたい衝動を、常人の限界を超えた理性でどうにか抑え込む。
佐伯が隣で「おい神尾、鼻血出すなよ」と極小の声で囁いたが、蓮の耳には届いていなかった。
合同レセプションの煌びやかな会場。
控室での甘い密会から数十分後、常務の背後に戻った真白の視界に、最悪なノイズが飛び込んできた。
蓮に話しかけているのは、今回の共同プロジェクトで最大の発言力を持つ、取引先大手グループ企業の会長令嬢・西園寺麗香(さいおんじ れいか)。
背中が大きく開いた派手な赤いドレスを身に纏い、いかにも「欲しいものはすべて手に入れてきた」と言わんばかりの高慢な笑みを浮かべている。
「恐縮です、西園寺様。お目にかかれて光栄です」
蓮はいつもの完璧なビジネススマイルで応じている。だが、麗香はそんな彼の態度を都合よく解釈したのか、距離をぐっと詰めると、あろうことか蓮の逞しい二の腕に自分の胸を押し付けるようにベタベタと抱きついた。
「ねえ、今回のプロジェクト、私がお父様にお願いして特別に参加させてもらうことにしたの。これから毎日、オフィスで会えるわね?」
「……それは、心強い限りです」
蓮は相手が取引先の令嬢であるため無下に引き剥がすこともできず、引きつらない笑顔を保つのが精一杯という様子だった。
その灰色の瞳は、助けを求めるようにチラリと真白へと向けられる。
しかし。
(……ベタベタ、ベタベタ触って……。私の蓮さんなのに。何よあの泥棒猫……!)
いつもなら、困っている彼を秘書の手腕でスマートに助け出すはずの真白だった。
だが、今夜は違った。
美咲の時のように「彼を信じられない」という不安は一ミリもない。目の前の男が、心も体も自分だけのものだと知っている。
だからこそ――純粋に、猛烈に、腹が立っていた。
真白は無意識のうちに、キュッと可愛らしく唇を尖らせて蓮を睨みつけていた。
真白の「ぷんぷんモード」が、自分への独占欲と嫉妬という形で炸裂している。
それを見た蓮は、頭の中で何かが激しく弾け飛ぶ音がした。
(――っ!!!? 真白が、嫉妬して拗ねてる……!?)
「えっ、神尾さん? 急にどうしたの? お顔が少し赤いけれど……」
「い、いえ、西園寺様。少々会場が暑いようですので、失礼いたします」
麗香が不思議そうに覗き込んでくるが、蓮の脳内は完全にキャパシティをオーバーしていた。
今すぐに麗香を突き飛ばして、真白を抱きしめて「可愛い、愛してる、大好きだ」と叫び散らかしたい衝動を、常人の限界を超えた理性でどうにか抑え込む。
佐伯が隣で「おい神尾、鼻血出すなよ」と極小の声で囁いたが、蓮の耳には届いていなかった。