死神の旦那様は、花嫁菓子しか食べられない
※
「やはり、酸の正体までは教えてもらえないのね」
ラムネの材料を探して、今日も薬種屋へ立ち寄った。今日もまた、店主から酸の材料を聞き出すことはできなかった。
大きいため息をひとつ吐き空を見上げる。どこまでも透き通るような青空に思わず足を止めた。
(温かくて広くて……まるで朔夜様の腕の中みたい……)
抱き抱えられた時の感触が蘇る。いつまでもそこにいたいと願ってしまうほど、安心できる場所だった。
いつの間にか目を閉じていた。
はっとして目を開けると、道ゆく婦人に不思議そうな顔で見られていた。小春は慌てて道の端に寄り、こそこそと歩き出した。
(ぼうっとしてちゃだめじゃない)
頬を押さえたまま歩き出す。
その時だった。
質屋の店先を通りかかった小春の目に、信じられないものが飛び込んできた。
店頭に並ぶ若草色の着物。
(まさか……)
朔夜から贈られた、あの着物だった。
(紗良が売った──?)