書道家の俺と、大好きなキミ。〜絵ありバージョン〜

理央と茉莉ちゃん

石垣学園2年S組、石垣理央(いしがき りお)。俺は、石垣学園……別名「書道学園」と言って、書道の上手さで順位が付けられる学園。そして俺は、石垣学園理事長の息子であり、世界でも有名な「石垣書道」の御曹司でもある。昔は『無敵の書道家』と呼ばれていた。
だから、小さい頃から書道の上手さを求められた。小さい頃は毎日10時間ほど書くわ書くわ。24時間筆を握っていた時もあって、書きすぎて筆が折れたこともあったけなぁ。それでも小さい頃は、書道が楽しくて夢中になっていた。
3歳で0歳〜18歳までの大会で優勝。小学1年生で全年齢の大会で優勝。でも、その時の俺にとっては全部当たり前だった。
けど……今は、そんなのは当たり前とは思っていない。世界のどんなものよりも夢中になれる"人"がその当たり前を砕いてくれた。
石垣学園3年S組、……天堂茉莉(てんどう まり)。出会いは小5の春。大会に出た時だった。その大会では、初めて準優勝を取った。
その大会で優勝を取ったのは、天堂茉莉ちゃん。俺は、どんな人か気になって、声をかけた。
『……優勝した、天堂茉莉、さんですか……?』
ずっと書道でコミュニケーションが取れていなくて、自分の名前も名乗らずに声をかけてしまった。
『はい……! 天堂茉莉です! もしかして、準優勝の石垣理央さんですか……!』
「準優勝」というワードを出されて、一瞬煽られたと思ったけど、それ以上に驚きがすごかった。
字と同じで、綺麗な……言葉では表せないくらい、綺麗でかわいい顔。お人好しが伝わってくるような綺麗な声。
この世に、こんなに……全てが、綺麗な人がいるのかと、驚いたのを、今でも明確に覚えている。
『……っ、は、はい……! そうです! 優勝、おめでとう、ござ……います……』
『ふふっ、緊張しなくても大丈夫ですよ! ちょっと話しませんか?』
僕はその微笑みを見て、一瞬で恋に落ちた。
話していくうちに楽しくなって、とても仲良くなったし、色々なことがわかった。1つ歳が上のことや、初の大会で優勝したことや、同じ学校だということや、Lunaと、あだ名が付いたこと。
俺たちは仲良くなって、「茉莉ちゃん」「理央」呼びになった。Luna……ローマ神話で出てくる、「月の女神」の名前でもある。茉莉ちゃんに……似合いすぎているな。
時間になって別れる時にようやく、好きになったということに気づいた。関係を壊してはいけないと思い、連絡先を交換した。
そこから、どんどん俺たちは仲良くなってーー……。
「……ねぇ、理央くんだよ!」「はぁ……今日もかわかっこい〜〜!」「ね〜〜〜! かわいい系じゃない?」「目の保養だわ……」
女子たちの話が聞こえてくる。うるさい奴らが登校してきた合図。女子たちは俺に聞こえないとでも思っているのか、どんどん話を(はず)ませている。
はぁ……せっかくいい思い出に浸っていたのに。毎朝これだよ……。俺は嫌な思いをしながら、うるさい女子たちを睨みつけた。
「ひっ……!」「まずい、また怒られちゃった……」「やっぱり怖いよね……ちょっと無愛想だし……」「でも、かわいい……」
でも、幸いなのが、書道学園にして2年の女子と男子の比が3:7とか。1人でも女子が少ない方が俺は嬉しい。……茉莉ちゃんを除いて。
最近少し、思い出に浸りすぎている自覚はある。今日……今日こそは、茉莉ちゃんに、会いに行こう。……そう、決意した。

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