誰も愛さない天才王の覚醒 〜俺が新・王? 両親が命懸けで守ってくれた国なので、十人の最強の寵妃と完璧に経営してみせます〜

エピソード58:後宮襲撃の狐火

アルフレッドの「十人側室制」によって完全に後宮の利権を封じられた一部の保守派貴族たちは、裏で焦りを募らせていた。

正当な手段で王に干渉できないと悟った彼らは、ついに一線を越える強硬手段に出る。

暗雲の垂れ込めるとある深夜。

『紅蓮宮』の敷地内に、漆黒の装束を纏った数人の刺客が闇に紛れて忍び込んだ。

ターゲットは、平民出身でありながら王の知恵袋として頭角を現し始めた第10側室のアリア、そして新体制の象徴である側室たちであ
った。

刺客たちが刀身を抜いた、その瞬間。

――ガキィィンッ!

暗闇を切り裂くような金属音が響き渡る。

「おいおい、夜這いにしては物騒な物を持ち込んでるじゃねぇか」

月光の下に浮かび上がったのは、巨大な大剣を軽々と肩に担いだ第1側室ブリジットだった。

寝間着の上に胸甲だけを付けた豪快な姿で、刺客たちを獰猛な笑みで見下ろす。

「ひ、ヒッ……! バルトロメウスの女騎士……!?」

「我が『紅蓮宮』の領地を汚した罪は重いぞ。全員、肉片にしてやる!」

ブリジットの一撃は大気を裂き、襲撃者たちは悲鳴を上げる暇もなく薙ぎ払われた。

逃走を図った最後の1人には、闇の中から伸びた糸が絡みつく。

第3側室セシルの影の手先だった。

「逃がさないわよ。……誰に雇われたか、じっくり吐いてもらうわ」

翌朝、刺客を送り込んだ保守派貴族の屋敷には、近衛兵が踏み込み、一族全員が拘束された。

アルフレッドの作った後宮は、すでに王が手を出すまでもなく、女たちの圧倒的な武術と情報網によって守られる「絶対の要塞」と化していた。
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