きみが光るたび、淡くなる
そう、たったそれだけだから・・・
「そんな感動したような目で見ないでくれ・・・」
私がすごいんじゃない、前のプロデューサーがヤバかっただけなんだ。
あのプロデューサーのせいできみたちの、プロデューサーに対する『当たり前』が変わってるだけなんだ・・・。
「やっぱ雨瑠ちゃん優しいね」
「・・・は?」
思わず声を漏らすと、月葵が逢と顔を見合わせて笑う。
「休憩中に話してたの。ただの不憫でボロボロなアイドルをここまでちゃんと保護して育てようとしてくれるなんて、雨瑠ちゃんはただのお節介じゃないよねって」
「困ってる人を放っておけない性分なんだろうねぇ。ちょっと心配ではあるけどそれに救われたから感謝してるよ」
まさか出会った翌日にそんなことを言われるとは思わなかった。
「なんか・・・ありがとう・・・?」
「ふふ、どういたしまして。それにこちらこそ!こんな俺たちを救ってくれてありがとう!」
「私がしたいことしてるだけだから気にしないこと」
そうだ、これはもともと『私がこの子たちのプロデューサーを奪っちゃったから』という責任から引き受けただけ。
まぁ、もう2日目にしてすでに愛着が湧いてるのは否定できないんだけど。

「なんかねぇ、お姉ちゃんが出来たみたいで嬉しいんだよねぇ」
少しの沈黙の後、ふとこたがそう言った。
急に何を言い出すんだと首をかしげると、絹が補足してくれる。
「こったは弟キャラなのに弟しかいないお兄ちゃんなんだよ」
そっかそっか、きみはこたのことを『こった』って呼ぶんだな。
思わずそこに意識が言ってしまった。
なんかすごい、個性あふれる、奇跡のバランスで保たれるグループだなぁ。
にしてもこたはお兄ちゃんなのか。
「ただの甘やかしてくれるだけじゃないお姉ちゃんが出来て嬉しい」
むふふと笑うこたはなんだか・・・
「・・・こたってさ、リスみたいだね」
口いっぱいにドングリを入れて満足げなリスに重なって見えた。
「・・・ありがとう?」
不思議そうにお礼を言ってくるので、思わず笑みが零れる。

「あぁ、ごめん、話が逸れたな。絹は歌がうまいのか。じゃあ私が卒業するまでは、磨くに磨く?それともダンスをもっとやりたい?」
「・・・え、選ばせてくれるの?」
「・・・え?それはもちろん、本人たちの意志で決めるから・・・」
「・・・いいの?・・・じゃあ、俺はどっちもやりたい。どっちもバランスいいアイドルになりたい」
「じゃあ、そうしようか。他のメンバーもちゃんと話し合って方向性は一緒に決めるから」
「えぇぇ・・・そういうものなの・・・?」
・・・あのプロデューサーヤバいよ・・・。
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