きみが光るたび、淡くなる
『~~♪』
突然私のスマホが鳴り始めた。
私に電話をかけてくるなんて、光か律か父か・・・それか、
「もしもし」
『もしもし、雨瑠?お兄ちゃんだぞ!』
・・・候補の中では一番かけてきてほしくない人だったぞ。
よりによってなんで今。
月葵もメンバーもいるのに・・・面倒なことになるぞ。
「なんの用?」
『今周りに誰がいるんだ?』
私の質問に答えずそう訊いてくる兄に、催促されていると気づいて、スピーカーモードにしてテーブルに置く。
DVDの流れるテレビを止め、璃翠がスマホに近寄った。
「ひなおじさん?」
『お、璃翠がいるのか!翠ぃ、元気かぁ⁉』
まったく、もう55歳だぞ・・・いつまでそのキャラでいくんだ。
「今は全員いるよ」
『・・・は?LUXEON、いるのか?出てこい!』
「ひな兄、切るよ」
兄は私と過ごす時間が長いLUXEONを未だに敵視しており、あたりも強い。
だから電話、今は嫌だったんだ・・・。
「はい。こんにちは、お義兄さん」
『お義兄さんと呼ぶな!氷室月葵!』
「覚えて下さったんですね!嬉しいです!」
ひな兄、まったく相手にされていないぞ。
さすが月葵、かわすのがうまいというか。
『ほかの奴もいるのか⁉』
「陽聖(ひなせ)さん、お久しぶりです」
他のメンバーもいるのか、少し怒りながら訊いてきた兄に、答えたのは絹。
すると兄は、その声を聴いて急に
『絹!絹もいるのか。久しぶりだな、元気か⁉』
「はい、おかげさまで。陽聖さんもお元気にされているようで、なによりです」
兄は絹のことを気に入っているらしく、LUXEONのメンバーの中ではただ1人だけ、態度が柔らかくなるのだ。
『まぁ、絹がいるなら安心だな。絹、これからも雨瑠のこと、頼んだぞ』
「はい、お任せください」
「なんのために電話かけてきたんだよ」
大したことも言わずに電話を切った兄に、思わずツッコんでしまう。
璃翠の声が聴けただけで満足なのか・・・?

「絹、相変わらず好かれてんね。・・・にしても俺、嫌われてんねぇ」
「いや、兄は本当に嫌いだったら結婚なんて許してない。好きではないが認めてはいると思うよ」
「そうなの?別にいいけどさ・・・」
言葉通り、対して気にしていなさそうな月葵。
「絹は・・・レアケースだな。兄は天才肌だし、絹のなにかを気に入ったんだろうな」
「・・・っ、そっか・・・うん。気づかれてるんだね」
絹にそう言うと、絹は何故か苦しそうに笑った。

『気づかれてる』・・・?
兄は、絹のなにかに気づいて気に入っているのか?
それは・・・あの時(●●●)、絹だけが笑わなかったことに関係している?
「あぁ、うるやんはしらなくていいんだよ。ほら、DVDの続き観よ」
なんだか誤魔化されたような気がしたが、絹が隠したいなら追及することはない、か・・・。

とにかく、温かくて奇跡のような時間を、今は噛み締めていたい。
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