因縁の魔王陛下と聖女令嬢~溺愛の呪いが解けない~
ようやくカインとエリーゼはテーブルに着席してロイアルと向かい合う。臨時会議のせいなのか、会議の相手はロイアル一人なので三者面談のようだ。
デヴィール国での会議の時と同じように、白いテーブルの上には大きな地図が広げられている。まずはカインが現状を説明する。
「今、侵攻されているのは隣国のサイベリア。ウィリアム国に攻め入るのは数日内だろうね」
それを聞いたエリーゼは危機感よりも期待で胸が高鳴る。それはアゼルに会えるからだ。
そんなエリーゼの心など知らないカインはロイアルに策を求める。
「ロイアル将軍、戦略はある?」
「うーん、そうですね……入手した情報によると、アゼル王は侵攻時に聖女を引き連れているという話ですよ」
その言葉に反応して意識が現実に戻ったエリーゼは思わず話に割って入る。
「聖女ですって!? それってセレンの可能性はある?」
「オレには分かりませんね。セレン様なのか、別の聖女なのか」
ロイアルにとっては、どちらでも変わらない件なので淡々としている。しかしエリーゼにとっては、どちらであっても衝撃の事実であった。
逆を言えば、どちらでもないとも言える。アゼルはエリーゼを溺愛しているのだから。
(そうよ、アゼルは絶対に私を見捨てたりはしない。呪いが解けない限りは)
あんなに恨めしいと思っていた呪いに、救いと安心を求めてしまう。それほどにエリーゼは溺愛という呪いに縛られる事を望んでしまっている。
そんな話の中でも、なぜかカインは余裕の表情をしている。
「聖女が誰だろうと問題ないね。だって僕には最強の聖女エリーゼ様がいるし」
(ちょっと! なんで私がカイン様に協力するのが当然になってるのよ!)
エリーゼはカインを睨みつけて脳内で激しくツッコミを入れる。最近、添い寝やらデートやらで調子に乗っているのは間違いない。
それに、わざわざアゼルに対抗して戦う気なんてない。エリーゼはアゼルの元へ帰れれば、それでいい。
ロイアルは、カインとエリーゼを交互に見た後に明るく笑った。
「はい、そうですね! 聖女には聖女で対抗すべきです! お二人が愛を深めるのが良案だと思います、以上!」
なぜか急にロイアルのテンションが上がった。聖女の能力は愛によって高まるので、カインとエリーゼの仲を後押ししている。
だがその実態は、やる気のないロイアルが王子と聖女に軍事を丸投げしているだけとも言える。
(ぐぅ……どうしてこう、みんなバカなのよ……)
よく考えてみれば、エリーゼは聖女としてカインに同行しなければ戦線に立てない。どの道アゼルに会いに行くにはカインに協力するしかない。
そう思って隣のカインを見ると、キラキラとした銀色の瞳と目が合った。その満面の笑顔は明らかに何かを期待している。
「じゃあ、そういう事になったから。よろしくね、エリーゼ様」
(どういう事なのよ!? 私にカイン様とラブラブしろって事なの!?)
……そういう事だろう。しかしエリーゼはカインと同行するために『ラブラブ』のふりをするしかない。
しかし同時にエリーゼは、アゼルが聖女を同行させている事に対してモヤモヤが止まらない。聖女が誰かなんて関係ない。いや聖女なんて関係ない。
溺愛の呪いはアゼルが側にいなくても、嫉妬という歪んだ愛に形に変えてエリーゼを苦しめてくる。
(アゼル……私以外の女を連れて歩くなんて許さない……絶対に叩いてやる……)
そんな憎悪を燃やすエリーゼの横で、カインは今夜もエリーゼとの添い寝を楽しみにして微笑んでいた。
デヴィール国での会議の時と同じように、白いテーブルの上には大きな地図が広げられている。まずはカインが現状を説明する。
「今、侵攻されているのは隣国のサイベリア。ウィリアム国に攻め入るのは数日内だろうね」
それを聞いたエリーゼは危機感よりも期待で胸が高鳴る。それはアゼルに会えるからだ。
そんなエリーゼの心など知らないカインはロイアルに策を求める。
「ロイアル将軍、戦略はある?」
「うーん、そうですね……入手した情報によると、アゼル王は侵攻時に聖女を引き連れているという話ですよ」
その言葉に反応して意識が現実に戻ったエリーゼは思わず話に割って入る。
「聖女ですって!? それってセレンの可能性はある?」
「オレには分かりませんね。セレン様なのか、別の聖女なのか」
ロイアルにとっては、どちらでも変わらない件なので淡々としている。しかしエリーゼにとっては、どちらであっても衝撃の事実であった。
逆を言えば、どちらでもないとも言える。アゼルはエリーゼを溺愛しているのだから。
(そうよ、アゼルは絶対に私を見捨てたりはしない。呪いが解けない限りは)
あんなに恨めしいと思っていた呪いに、救いと安心を求めてしまう。それほどにエリーゼは溺愛という呪いに縛られる事を望んでしまっている。
そんな話の中でも、なぜかカインは余裕の表情をしている。
「聖女が誰だろうと問題ないね。だって僕には最強の聖女エリーゼ様がいるし」
(ちょっと! なんで私がカイン様に協力するのが当然になってるのよ!)
エリーゼはカインを睨みつけて脳内で激しくツッコミを入れる。最近、添い寝やらデートやらで調子に乗っているのは間違いない。
それに、わざわざアゼルに対抗して戦う気なんてない。エリーゼはアゼルの元へ帰れれば、それでいい。
ロイアルは、カインとエリーゼを交互に見た後に明るく笑った。
「はい、そうですね! 聖女には聖女で対抗すべきです! お二人が愛を深めるのが良案だと思います、以上!」
なぜか急にロイアルのテンションが上がった。聖女の能力は愛によって高まるので、カインとエリーゼの仲を後押ししている。
だがその実態は、やる気のないロイアルが王子と聖女に軍事を丸投げしているだけとも言える。
(ぐぅ……どうしてこう、みんなバカなのよ……)
よく考えてみれば、エリーゼは聖女としてカインに同行しなければ戦線に立てない。どの道アゼルに会いに行くにはカインに協力するしかない。
そう思って隣のカインを見ると、キラキラとした銀色の瞳と目が合った。その満面の笑顔は明らかに何かを期待している。
「じゃあ、そういう事になったから。よろしくね、エリーゼ様」
(どういう事なのよ!? 私にカイン様とラブラブしろって事なの!?)
……そういう事だろう。しかしエリーゼはカインと同行するために『ラブラブ』のふりをするしかない。
しかし同時にエリーゼは、アゼルが聖女を同行させている事に対してモヤモヤが止まらない。聖女が誰かなんて関係ない。いや聖女なんて関係ない。
溺愛の呪いはアゼルが側にいなくても、嫉妬という歪んだ愛に形に変えてエリーゼを苦しめてくる。
(アゼル……私以外の女を連れて歩くなんて許さない……絶対に叩いてやる……)
そんな憎悪を燃やすエリーゼの横で、カインは今夜もエリーゼとの添い寝を楽しみにして微笑んでいた。