金髪悪魔の正体
第1章


♪  ♪  ♪


人々の歓声と鳴り響くギターの音が、ポケットの中の着信音をかき消す


「やば鳴ってる」


急いで電話に応答すると、焦ったような女性の声が聞こえた


『もう!何度も電話かけたんだけど!それで会場にはついたの?』


「はい!着きました!」




私の名前は葵日向(あおい ひなた)


20歳の大学2年生


芸能事務所でアルバイトをしていて

今は駆け出しガールズバンドのマネージャー見習いをしている関係で、彼女たちが明日披露する野外ステージの下見に来ていた



「金曜日のDay1でこんなに人がいるんだから、明日のDay2はもっと人やばいですね社長!」


『なに言ってんのよ。今の時間は超人気バンド『マーダーリヴァイアサン』の時間でしょ。そりゃ人がいるわよ』


「なっ、なんですかその中二病みたいな名前」


『最近ベース担当が脱退して話題になってたけど、今日は予定どおり出演しているみたいね!」



事務所の女社長、斎藤が興奮気味に解説する



「えっでも社長、ベースいますよ?」


つい先ほどまで釘付けになっていた、悪魔のような雰囲気の色白ベーシスト


遠くて表情はあまり分からないが

ヘッドバンギングで揺れる細い金髪が、陽炎に重なってキラッと光った



『さあ?新メンバーか、サポートメンバーなんじゃない?』


「ふうん…」


『とにかく、会場の写真をある程度撮り終わったら、16時から打ち合わせがあるからそれまでに戻ってくるのよ』


「え~」


酷暑の中

フェスを取り囲むように配置されている屋台でかき氷でも買い食いしようと思っていたのだが

そんな時間は一切なさそうだ



「ケチーって、電話切れてるし」


16時まであまり時間がない


てかステージの写真、絶対打ち合わせで使うよね~


バンドの演奏も見たかったが

仕方がないのでパパっと写真を撮って早めに事務所へ戻ることにした

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