無口な君は、誰よりも綺麗だった。

・甘い寄り道

詩 side


Astralを抜けてから、数週間。


心にぽっかり穴が空いたような毎日を過ごしていた。


ただ、一つだけ変わったことがある。


Astralを抜けた途端――


ギターの弦が切られたり、ピックや譜面がなくなったりする嫌がらせは、まるで嘘だったかのようにぴたりと止んだ。


(……やっぱり、あれは。)


そう思っても、もう考えるのはやめた。


今は、それ以上に胸が苦しかった。





放課後。


いつもの癖で音楽室へ向かう階段を上がりかけて、私は慌てて足を止める。


「あ……。」


もう、私はAstralのメンバーじゃない。


そう思い出して、小さく笑ってしまう。


踵を返し、今度はゆっくりと階段を下りた。


屋上へ行く気分にもなれない。


寄り道をする元気もなく、そのまま真っ直ぐ家へ帰ろうと駅へ向かう。


(一人なんて、前は平気だったのにな。)


昔は、一人でギターを弾く時間が好きだった。


一人で音楽と向き合う時間が心地よかった。


それなのに、いつの間にか――


みんなと笑いながら音楽をする時間が、私の”当たり前”になっていた。


だから今は、一人の時間が少しだけ苦しい。


ギターケースの肩紐を握りしめながら歩いていると――


「園崎さん。」


聞き慣れた優しい声がした。


「……え?」


振り返ると、そこには頼くんが立っていた。





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