恋を知らないきみへ
「お疲れ様です」
挨拶しながら会議室に入ると、すでに半分ほどの席が埋まっていた。
前方では営業部長と商品企画部の担当者が、価格表を見ながら話している。
設計部の人たちは、テーブルの上に広げた図面を指さして何か確認していた。
木曜日の決起会で顔を合わせた人も多く、目が合うと軽く会釈を交わす。
私は前から二列目の席へ向かった。
スクリーンが見やすくて、部長から意見を求められた時にも話しやすい場所。
大きめの会議室を使うようになった最近は、いつもこのくらいの位置に座っている。
イスを引き、バッグを足元に置く。
そのあとで、手にしていた資料を何気なく隣の席へ置いた。
自分の前には、今日使う分だけを残す。
隣の机に置いたのは、これまでの会議資料と、先週木ノ下くんから修正を頼まれていた営業側の意見書だった。
別に、席を取っておこうと思ったわけじゃない。
ただ、木ノ下くんが来たら渡せばいいと思っただけ。
いつも、そうしていたから。
会議中に確認したいことがあれば、資料を机の真ん中へ滑らせる。
木ノ下くんが気付いて、該当する箇所を指で示す。
私が話し始めれば、その先にある意図を拾ってくれる。
木ノ下くんの説明が分かりにくそうな時は、私がお客様の言葉に置き換える。
いつからか、わざわざ打ち合わせをしなくても、そんなことができるようになっていた。
「お疲れ様です」
聞き慣れた声がして、顔を上げる。
マーケティング部の課長と一緒に、木ノ下くんが会議室へ入ってきた。
挨拶しながら会議室に入ると、すでに半分ほどの席が埋まっていた。
前方では営業部長と商品企画部の担当者が、価格表を見ながら話している。
設計部の人たちは、テーブルの上に広げた図面を指さして何か確認していた。
木曜日の決起会で顔を合わせた人も多く、目が合うと軽く会釈を交わす。
私は前から二列目の席へ向かった。
スクリーンが見やすくて、部長から意見を求められた時にも話しやすい場所。
大きめの会議室を使うようになった最近は、いつもこのくらいの位置に座っている。
イスを引き、バッグを足元に置く。
そのあとで、手にしていた資料を何気なく隣の席へ置いた。
自分の前には、今日使う分だけを残す。
隣の机に置いたのは、これまでの会議資料と、先週木ノ下くんから修正を頼まれていた営業側の意見書だった。
別に、席を取っておこうと思ったわけじゃない。
ただ、木ノ下くんが来たら渡せばいいと思っただけ。
いつも、そうしていたから。
会議中に確認したいことがあれば、資料を机の真ん中へ滑らせる。
木ノ下くんが気付いて、該当する箇所を指で示す。
私が話し始めれば、その先にある意図を拾ってくれる。
木ノ下くんの説明が分かりにくそうな時は、私がお客様の言葉に置き換える。
いつからか、わざわざ打ち合わせをしなくても、そんなことができるようになっていた。
「お疲れ様です」
聞き慣れた声がして、顔を上げる。
マーケティング部の課長と一緒に、木ノ下くんが会議室へ入ってきた。