恋を知らないきみへ
そして、思い出したように桃果が「そういえば」と顔を上げる。
「システム部の森ちゃん、結婚するんだってよ。これで同期で結婚したの三人目だね」
「そっかー。もう私たちもそんな歳になってるんだね」
森ちゃんが恋人と順調なのは、少し前の同期会で本人から聞いていたからあまり驚くことでもなかった。
なんとなく予想もついていたのでそう返しただけなのに。
桃果は不満げに目を細めていた。
「……ほのか、めっちゃ他人事みたいに言うじゃん。自分はどうなの、千崎さんとは?」
彼女のその言葉に、なんとなく箸を止める。
“千崎さん”というのは、設計部に勤務している私の彼氏の名前だ。
二歳上の先輩で、付き合ってもうすぐ三年。
彼と付き合っていることは会社でも特に隠していないし、知っている人は知っている。
だから桃果ももちろん、私たちのことを今みたいに時々聞いてくる。
「……いや、別に普通」
事実を答えると、桃果はますます納得がいかないような顔で眉を寄せるのだった。
「普通ってなに?結婚の話は?まったく出てないの?」
「出てないよ。お互い忙しいし」
「ほのかは結婚したくないの?」
「……考えたことない」
全部、事実。思っていることを口にしただけに過ぎない。
「システム部の森ちゃん、結婚するんだってよ。これで同期で結婚したの三人目だね」
「そっかー。もう私たちもそんな歳になってるんだね」
森ちゃんが恋人と順調なのは、少し前の同期会で本人から聞いていたからあまり驚くことでもなかった。
なんとなく予想もついていたのでそう返しただけなのに。
桃果は不満げに目を細めていた。
「……ほのか、めっちゃ他人事みたいに言うじゃん。自分はどうなの、千崎さんとは?」
彼女のその言葉に、なんとなく箸を止める。
“千崎さん”というのは、設計部に勤務している私の彼氏の名前だ。
二歳上の先輩で、付き合ってもうすぐ三年。
彼と付き合っていることは会社でも特に隠していないし、知っている人は知っている。
だから桃果ももちろん、私たちのことを今みたいに時々聞いてくる。
「……いや、別に普通」
事実を答えると、桃果はますます納得がいかないような顔で眉を寄せるのだった。
「普通ってなに?結婚の話は?まったく出てないの?」
「出てないよ。お互い忙しいし」
「ほのかは結婚したくないの?」
「……考えたことない」
全部、事実。思っていることを口にしただけに過ぎない。