あなたを愛しているから
第3節
「…………わかっていたけど、痛いもんは痛いな」
腹部を押さえながら、木に背を預ける。
面倒くさかったので、剣を流さず、自身の腹部を犠牲に相手を始末した。
前の生では流さず、真面目に受けたことで、後々、皇帝としての仕事に支障が出たから、それなら、と、諦め半分で腹部を選んだんだが。
「……」
死にはしないだろうが、中々に出血が収まらず、元々あまり眠れていないこともあって、疲れた……。
少し経てば、琉琉が追いかけてくるだろうから、それまで何とか持ちこたえよう……そう思っていた矢先。
「─わっ!?」
声がした。
山の中だ。しかも、翳りがあるほうだ。
普通の民なら、誰も近寄ることがない場所だ。
だからこそ、皇帝を始末するのに選ばれたのだ。
「……」
だというのに。
目の前に広がる、死屍累々。
それを見て、彼女は叫ぶも、泣くもせず。
「確かに、人目はないかあ……」
そう言いながら、死屍を跨ぐ。そして。
「─生きてる?」
そう、神狼に問いかけてきた。
確信めいた言い方、その瞳、
「あっ、生きてた」
ニッ、と、嬉しそうな笑顔。
─嗚呼、今世ではここなのか。
