あなたを愛しているから

第3節




「…………わかっていたけど、痛いもんは痛いな」

腹部を押さえながら、木に背を預ける。
面倒くさかったので、剣を流さず、自身の腹部を犠牲に相手を始末した。

前の生では流さず、真面目に受けたことで、後々、皇帝としての仕事に支障が出たから、それなら、と、諦め半分で腹部を選んだんだが。

「……」

死にはしないだろうが、中々に出血が収まらず、元々あまり眠れていないこともあって、疲れた……。

少し経てば、琉琉が追いかけてくるだろうから、それまで何とか持ちこたえよう……そう思っていた矢先。

「─わっ!?」

声がした。
山の中だ。しかも、翳りがあるほうだ。
普通の民なら、誰も近寄ることがない場所だ。
だからこそ、皇帝を始末するのに選ばれたのだ。

「……」

だというのに。
目の前に広がる、死屍累々。
それを見て、彼女は叫ぶも、泣くもせず。

「確かに、人目はないかあ……」

そう言いながら、死屍を跨ぐ。そして。

「─生きてる?」

そう、神狼に問いかけてきた。
確信めいた言い方、その瞳、

「あっ、生きてた」

ニッ、と、嬉しそうな笑顔。
─嗚呼、今世ではここなのか。
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

世界はそれを愛と呼ぶ

総文字数/369,764

恋愛(その他)327ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
─それを、愛と呼ばないのならば。 .*・゚ .゚・*.. 黒橋沙耶(Kurohashi Saya) × 御園相馬(Misono Souma) *・゚ .゚・*. 『俺と結婚しよう』 互いの身の上は語り合わず、流れで婚約をした。 仮初の婚約者なのに、彼はずっと優しくて。 .*・゚ .゚・*. 以前、別のアカウントで完結させたものの集大成を、書きたかった全てを詰め込んで、幸せになって欲しいと思います。 ※前回の作品と違う部分が多々あります。 暴力表現、事件表現など多々あります。 苦手な方は推奨致しません。 冬珈

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop