あの子を闇に突き落とした私たちは、放課後の罪を半分ずつ分け合う。
捧げる
あの放課後の惨劇から、私たちは一歩も学校の外へ出られなかった。
家に帰ることも、警察に駆け込むこともできなかった。
スマホの画面に映る『逃げたら、次はお前だ』
その血のような文字が、私たちの足をすくませていたからだ。
外はすっかり日が落ちて、窓の外は濃い群青色に染まっている。
午後6時55分。メッセージが届いた10人は、夕闇に沈む教室の真ん中で、まるでお互いの体温を確かめ合うように身を寄せ合っていた。
「ねえ……本当に、7時になったら何かが起きるの?」村坂 葵(むらざわ あおい)が、今にも泣き出しそうな声で自分の腕を抱きしめる。
誰も答えない。答えられるはずがなかった。
私は、思わず「なんで…私がこんな事…」
と呟いた。
すると「大丈夫だから。何があっても、俺が美羽のそばにいる」
暗闇の中で、ハルトが私の手をそっと握りしめてくれた。
いつも通りの、少し大きくて温かい手。
その温もりだけが、激しく波打つ私の心臓をなんとか繋ぎ止めてくれていた。
チク、タク、チク、タク。
不気味なほど静まり返った教室に、壁掛け時計の秒針の音だけが大きく響く。
すると、突然パチ、と音がして、教室内を照らしていた蛍光灯が突然すべて消えた。
「きゃああっ!?」「電気が……!?」一瞬にして視界が真っ暗になる。
窓から差し込む街灯の明かりだけが、青白くみんなの怯えきった顔を照らし出していた。
ゴ、オオオオン――。
地を這うような重い音が学校中に響き渡る。
時計の針は、ちょうど午後7時を指していた。
ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ!
「ひっ……何の音!?」
窓の外で、金属が激しくぶつかり合う音が連続して沸き起こる。
見ると、すべての窓の外側に、普段は使われていない防犯用の鉄製のシャッターが上から恐ろしい勢いで落ちてきていた。
外の景色が、次々と闇に塗りつぶされていく。
「嘘だろ……おい、玄関はどうなってるんだよ!」鈴岡 依織(いおり)が叫び、廊下へと飛び出していった。
足音が遠ざかり、すぐに絶望に満ちた悲鳴へと変わる。
「閉まってる……! 昇降口のガラス扉も、シャッターで完全に塞がれてる! 出られない、閉じ込められたんだ!」
私たちは、夜の学校という巨大な密室に完全に閉じ込められてしまった。
ハルトの手を握る私の指先に、じんわりと嫌な汗がにじむ。
その時、静寂を破って、10人のスマホが一斉に、狂ったように震えだした。冷たい電子音が暗闇の教室に重なり合う。
画面に浮かび上がったのは、見たくもなかったあのメッセージ。
『脱出ゲームを開始します。学校のどこかに隠された、私の【大切な思い出の品】を5つ見つけて、教室の教卓に捧げなさい。制限時間は午前0時まで。クリアできなければ、あなたたちの命で罪を償ってもらいます』
メッセージのすぐ下に、1枚の古い写真が添付されていた。
それは、私と、私の大好きな親友と――そして、いつの間にかクラスから消えてしまった『あの子』の、3人で笑っている写真だった。
写真のあの子の顔だけが、カッターナイフでズタズタに切り裂かれている。
「あ……あ……」私の隣で、親友が息を呑む音が聞こえた。
その顔は、恐怖だけではない、何か別の恐ろしい秘密を知ってしまったかのように真っ白に強張っていた。
家に帰ることも、警察に駆け込むこともできなかった。
スマホの画面に映る『逃げたら、次はお前だ』
その血のような文字が、私たちの足をすくませていたからだ。
外はすっかり日が落ちて、窓の外は濃い群青色に染まっている。
午後6時55分。メッセージが届いた10人は、夕闇に沈む教室の真ん中で、まるでお互いの体温を確かめ合うように身を寄せ合っていた。
「ねえ……本当に、7時になったら何かが起きるの?」村坂 葵(むらざわ あおい)が、今にも泣き出しそうな声で自分の腕を抱きしめる。
誰も答えない。答えられるはずがなかった。
私は、思わず「なんで…私がこんな事…」
と呟いた。
すると「大丈夫だから。何があっても、俺が美羽のそばにいる」
暗闇の中で、ハルトが私の手をそっと握りしめてくれた。
いつも通りの、少し大きくて温かい手。
その温もりだけが、激しく波打つ私の心臓をなんとか繋ぎ止めてくれていた。
チク、タク、チク、タク。
不気味なほど静まり返った教室に、壁掛け時計の秒針の音だけが大きく響く。
すると、突然パチ、と音がして、教室内を照らしていた蛍光灯が突然すべて消えた。
「きゃああっ!?」「電気が……!?」一瞬にして視界が真っ暗になる。
窓から差し込む街灯の明かりだけが、青白くみんなの怯えきった顔を照らし出していた。
ゴ、オオオオン――。
地を這うような重い音が学校中に響き渡る。
時計の針は、ちょうど午後7時を指していた。
ガシャ、ガシャ、ガシャ、ガシャ!
「ひっ……何の音!?」
窓の外で、金属が激しくぶつかり合う音が連続して沸き起こる。
見ると、すべての窓の外側に、普段は使われていない防犯用の鉄製のシャッターが上から恐ろしい勢いで落ちてきていた。
外の景色が、次々と闇に塗りつぶされていく。
「嘘だろ……おい、玄関はどうなってるんだよ!」鈴岡 依織(いおり)が叫び、廊下へと飛び出していった。
足音が遠ざかり、すぐに絶望に満ちた悲鳴へと変わる。
「閉まってる……! 昇降口のガラス扉も、シャッターで完全に塞がれてる! 出られない、閉じ込められたんだ!」
私たちは、夜の学校という巨大な密室に完全に閉じ込められてしまった。
ハルトの手を握る私の指先に、じんわりと嫌な汗がにじむ。
その時、静寂を破って、10人のスマホが一斉に、狂ったように震えだした。冷たい電子音が暗闇の教室に重なり合う。
画面に浮かび上がったのは、見たくもなかったあのメッセージ。
『脱出ゲームを開始します。学校のどこかに隠された、私の【大切な思い出の品】を5つ見つけて、教室の教卓に捧げなさい。制限時間は午前0時まで。クリアできなければ、あなたたちの命で罪を償ってもらいます』
メッセージのすぐ下に、1枚の古い写真が添付されていた。
それは、私と、私の大好きな親友と――そして、いつの間にかクラスから消えてしまった『あの子』の、3人で笑っている写真だった。
写真のあの子の顔だけが、カッターナイフでズタズタに切り裂かれている。
「あ……あ……」私の隣で、親友が息を呑む音が聞こえた。
その顔は、恐怖だけではない、何か別の恐ろしい秘密を知ってしまったかのように真っ白に強張っていた。