隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
「いや。悪い、言い過ぎた。誰がとではなくて、俺が単に思っただけで……ちょっとした冗談だったんだ。ごめん」

 無意識に出てしまった言葉の意味の大きさに、泰雅の方が狼狽した。軽く受け流してくれると思ったのだ。

「そう」

 羽琉矢は短く返事を返すと、何やら思案気に頬杖をついた。

 垣下の様子から忙しさのピークだということは見て取れたし、いつもは言わない羽琉矢への不満を愚痴ったところを見ると、彼も相当ストレスが溜まっているのだろう。

 優雅にコーヒーを飲んでいる羽琉矢を見ていたら、社内の喧騒とのかなりの違いもあって、つい説教じみたことを言ってしまったのだ。

 今年に入って会社に一度も顔を見せていないのなら、この屋敷からも一歩も出ていない可能性の方が高い。泰雅は不安になってきた。

「無理強いするつもりはないけどな。お前の事情だって理解しているし、代表不在でも、社長もいるし、会社がうまくいっていればそれはそれでOK、なんだろうから、学生の俺が口を出すことではないし」

「あれ、急に弱気になったね。さっきの剣幕はどこへいったの? もう少しだったのに、そんなんじゃ、僕を説得させられないよ。いいの?」

 お見通しか。

 帰り際に垣下から決裁も溜まっているから、社に顔を出すように言ってくれと鬼の形相で頼まれたのだ。

 羽琉矢も昨日今日代表になったわけではない。
 会社の事情もよくわかっているはずだ。この時期、垣下が何を考え、どんな状況にいるのかも。

 人の心に聡い羽琉矢であればなおのこと、よくわかっているだろう。
< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

普通な学校生活を送るための傾向と対策

総文字数/44,821

青春・友情129ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
中学に入学早々、わたし(川原里花)は 悩んでいた・・・・・ 親友の桜木緋色のこと、 モテすぎて、困るのよね。 わたしは、普通で静かな学校生活を送りたいのに。 そのためには・・・どうしようかしら?
お嬢様は今日も美しい

総文字数/18,242

ファンタジー36ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私がお仕えしているお嬢様は美しく教養も兼ね備えたフランチェスカ・ローシャス公爵令嬢。そんなお嬢様が学園のダンスパーティーで婚約者である王太子から婚約破棄されてしまった。 王太子の隣には男爵令嬢。お嬢様にいじめられたと訴えているのだが、こちらには身に覚えがない。 どんな理由があれど、婚約破棄は望み通りなので、異は唱えない。むしろ願ったりかなったり。 でも、よろしいのでしょうか? お嬢様との婚約は王命だったのですが……                                                                                                                             2024.2.29
表紙を見る 表紙を閉じる
同名タイトルの続編です。 恋心に鈍感な侯爵令嬢フローラと見目麗しき第三王子レイニーの恋物語。   2022/4/9~2023/10/15

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop