エリート社長の密かな純愛 〜身籠り初夜から始まる極上な甘い罠〜
次の瞬間、後ろから抱きしめられていた身体が、ゆっくりと反転させられる。
「……お前、そんな風に思ってたのか」
向けられた慧さんの瞳には、呆れるほどの深い愛おしさと、ひどい焦燥感が混ざり合っていた。
慧さんは私の涙を親指で優しく拭うと、言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「麗華は大学時代の友人で、お互いに余計な感情は持ち合わせていない。……アイツにだって、別に本命の相手がいる。親たちが勝手に進める政略の形を崩すために、協力し合っているだけだ」
「え……?」
「あいつを下の名前で呼んでいるのは、学生時代からの癖なだけだ。お前を『森下』って呼んでたのは……会社で周りに勘繰られて、お前を巻き込みたくなかったからだ」
予想もしなかった真実が次々と明かされ、涙がピタリと止まる。
「じゃあ、昨日は……」
「昨日一緒にいたのは、これのせいだ」
慧さんは苦笑混じりにため息をつくと、上着のポケットから小さな、濃紺のベルベットの箱を取り出した。
パカッ、と目の前で開かれたその箱の中には───……。
夜が明け始めたばかりの、静かな窓外から差し込む淡い光を集めて、眩いほどにきらめく、美しいダイヤモンドの指輪が収められていた。