辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 目の前にいるのは、リンデン伯爵というらしい。伯爵は、ラウガルトを見るとしかめっ面になった。こんなにころころと表情を変えてしまって、貴族として大丈夫なのだろうか。トーリが言ってもしかたのないことだが。

「トーリ殿は、その能力で陛下にお仕えをしている。伯爵がとやかく口を挟むことではないだろう?」

 重ねて言われ、伯爵は舌打ちした。ここがどこかわかっているのだろうか。皇宮の廊下である。そこで、こんな無礼な真似をするなんて。

「陛下に尾を振るしか芸のない犬が」

 吐き捨てるようにそう言うと、伯爵は身をひるがえして行ってしまった。

「……ラウガルトさん?」

 今の言葉は、あまりにも失礼だ。彼が傷ついたのではないかとトーリが心配して見上げると、彼は肩をすくめただけだった。歯牙にもかけていないらしい。

「大丈夫?」
「あのような者の言うことに、いちいち耳を貸していては始まりませんよ」

 思っていた以上に、彼は大人だったようだ。

(とはいえ、僕の立場を面白くないと思っても当然なんだよねぇ……)

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