辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 嬉しそうに破顔したエルヴィは、トーリを通じてガイストの許可を取ってから背中に触れる。前の時同様、彼女の手つきは優しいもので、相手を傷つける意思はなさそうだ。ガイストの尾も左右に揺れているから悪い気はしないらしい。
 廊下を歩いていき、中庭への扉を開くと、午後の日差しでまぶしいほどだった。白、黄色、赤、青、紫にピンク。様々な薬草が、それぞれの色の花を咲かせ、風に揺れている。

「すっごく綺麗!」

 エルヴィは思わずといった様子で足を止めた。咲いている花の間を、メディックビー達が飛び回って蜜を集めている。
 かなりの数がいるので羽音がうるさいほどだが、エルヴィは気にしている様子は見せなかった。

(……たしかに、綺麗だな)

 毎日のように来ているのに、ここに初めて来るエルヴィと並んで眺めると、いつもの景色とは違う気がする。

「ねえ、レーケはどこにいるの?」
「呼んでみる。レーケ!」

 大きな声で呼びかけると、薬草の茂みの向こうからぶぅんと羽音が近づいてきた。他のメディックビーより少し大きなレーケが姿を見せる。
『坊や、呼んだ?』

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