辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 ガイストはトーリを乗せていてもまったく疲れを感じないらしい。おまけに、トーリが背中で眠ってしまっても落とすこともなかった。
 そのおかげで、馬車での旅は十日を予定していたのに、七日目には開拓村が見えるところまで到着した。

「……さて、受け入れてもらえたらいいんだけど」

 炊事の煙らしいものが、遠くに見えている。開拓村は、三十人ほどと聞いた。これだけたくさんのシャドウウルフを連れていては、きっと村民達を怯えさせてしまう。

「えっとね、アンジェとガイストだけ一緒に来てくれるかな。ガイスト、群れの仲間は少し離れたところにいてほしいんだけど……」

『わかった、我が友よ。群れのものは、周囲の警戒にあたらせよう』

「……いいの?」

『どうせ、獲物は取らねばならぬ』

 トーリは、個々のシャドウウルフと誓約を結んでいるわけではない。だが、ガイストを通じて、彼らが考えていることはなんとなくわかる。
 皆、トーリを仲間と認めてくれていて――馬のアンジェも――周囲を警戒するのに、賛成してくれている。

「うん、じゃあ、お願いね。いつか、美味しいお肉を食べさせてあげるから」

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