辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 すかさずリュディアは腰の剣に手をかける。彼女を守るようにラウガルトが前に出た。背後にリュディアをかばった瞬間には、彼の手は腰から大剣を引き抜いていた。
 むき身の刃が、ランプの明かりを受けてぎらりと煌(きら)めく。

「――わお。まさか、こんなに早く気づかれるなんてね」

 ゆらり――空気が揺れる。
 次の瞬間、女帝の正面に現れたのは、黒い狼を従えた少年、いや、幼児の姿だった。五、六歳というところだろうか。
 リュディアのものより色素の薄い金髪は、ふわふわと小さな頭を覆っている。こんな状況なのに、愉快そうに煌めいている緑色の目。
 黙っていれば、人形にも見えてしまいそうな完璧な容姿。身に着けているのは簡素な白いシャツと茶の半ズボンだが、それでも彼の持つ妖精のような愛らしさは損なわれていない。
 黒い狼は、彼を守ろうとしているかのように身を低くして、いつでも飛び出せるように構えている。

「……子供?」

 思わずリュディアはつぶやいた。どうひいき目に見ても、目の前にいるのは子供である。もしかして、子供の姿を持つ魔物なのだろうか。

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