フェイク・シークレット 〜自分を守るために〜
無理。
そんな事、分かってるのに。
人間は無い物ねだりしてしまう生き物だから。
「涼、大丈夫?」
「……あ、うん。夏澄に、バレたくなかったからっていう僕のせいだから」
「……うん。でもあんまり自分を責めないでね」
「ありがとう」
涼は夏澄に見惚れていた。
窓の近くで頬杖をつきながら、空を眺めて、ボーっと何かを考えているような夏澄を。
その姿は、あまりにも神秘的で、通りすがった人が誰でも観てしまう。
涼は、少し悔しかった。
夏澄が秘密を教えてくれないことが。
自分も秘密を教えてないと言うことはもちろんある。
自分を棚に上げてることは分かってる。
でも、それでも悔しかった。
夏澄が、一人で辛い思いを抱えてる。そのことを知っていたのに……。
その嘘を教えてくれないことが。