その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

逆包囲の咆哮

「……おい、鳳の『黒曜』の2人はまだ来ねえのかよ」

鳳学園の境界にある、薄暗い廃倉庫。『狂犬連盟』の二代目総長・神代から「蓮と陸を待ち伏せて叩け」と命じられた二十人の不良たちが、鉄パイプを手にイラ立ちを募らせていた

入り口はすでに大型トラックで完全に塞いである。一度誘い込めば、ネズミ捕りのように圧殺できるはずだった。

「遅ぇな……神代さんの情報じゃ、そろそろここを通るはず――」

一人の不良が言葉を言いかけた、その瞬間。バゴォォォン!!!激しい衝撃音とともに、倉庫の奥のガラス窓が粉々に砕け散った。

爆音を響かせて暗闇から突っ込んできたのは、2台のカスタムバイク。

シルバーウルフの髪を激しく揺らした千堂蓮と、ミルクティーベージュのパーマ頭の鳴海陸だ。

「あァ!? 誰が罠に引っかかるって? テメェらが待ち伏せてる場所に、後ろから突っ込んでやるのが俺たち『黒曜』の礼儀だろぉが!!」

蓮がバイクから飛び降りるなり、最前列の不良の顔面に強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。

「うわっ、蓮くん最初から飛ばしすぎ〜! じゃあ俺は、入り口を塞いでる奴らから片付けちゃおっと!」

陸が軽快にバイクのアクセルを回し、退路を塞ごうとしていた不良たちをバイクごと轢き退けていく。

「な、何でここに……! 待ち伏せがバレて――」

不良たちがパニックに陥る。彼らは知る由もなかった。

自分たちの完璧な作戦が、ファミレスの片隅にいた大人しい一般生徒、多久によってすべて筒抜けになっていたことを。

「クソッ、囲め! たった二人だ、数で押し潰せ!」

二十人の不良が一斉に武器を構えて2人に群がる。

「数で押し潰す? 数の計算なら、一ノ瀬のスパルタ補習で散々やらされてんだよ! 0をどれだけ足しても0のままだってなぁ!!」
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