はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
プロローグ
季節は初夏。夏本番を待たずに、既に暑さが苦しい日曜日の午後。
Tシャツとジーンズとお団子ヘアの瀬戸千雪は、お茶に誘われてティエドゥールという喫茶店に居た。千雪は少しお人好しな性格の二十五歳。職業はインテリアコーディネーターだ。
ティエドゥールは爽やかなフランス風の内装で、千雪はこの内装がとても好みである。
入口はスモーキーブルーの木の扉に、金色のドアノブが付いている。中に入れば、レモン色の壁に白木の腰板。水色の木枠の出窓には、白いレースのカーテンが飾られていた。丸いテーブルと赤や緑の座面の椅子がセットされ、カウンター席もある。天井にはシーリングファンが緩やかに回り、優しい空気の流れを作りだす。BGMはもちろんフレンチジャズで、店内に彩りを添えていた。
こんな素敵な喫茶店で、楽しみにしていたお茶会のはずだった。しかし今、千雪は丸いテーブルの前で非常に困惑している。困惑の原因は千雪の両隣に座る、二人の同席者の発言にあった。
「僕と結婚してください」
「結婚するなら俺とだろ」
と、二人から、プロポーズを受けたのだ。それも突然に。
千雪の同席者とは。
右隣に座っている鈴木翔也。フランス人の母を持つハーフの彼は、千雪と同い年の二十五歳で幼馴染だ。今日お茶に誘ってくれたのは、この翔也である。
そして左隣には八奈見哲平。彼は千雪の高校の同級生だ。今は、仕事仲間でもある。体育会系で硬派だが社交的な哲平は、何食わぬ顔でこのお茶会に飛び入り参加してきた。
翔也と哲平。二人を交互に見てから千雪は口を開く。
「えーと……二人に聞きたい。結婚してくださいとは、どういうことでしょう?」
千雪は知りたかった。目の前の二人が、同時にプロポーズしてきた理由を。
(どうしてこうなった?)
千雪は、ひきつった表情のまま目の前のコーヒーカップに視線を落とした。
この二人と千雪は、三ヶ月程前に再会したばかりだった。
翔也とは中学三年以来の十年ぶり、哲平とは高校三年以来の七年ぶりの再会だ。その間、二人との親交は途絶えていた。再開してから今日に至るまで、翔也とは幼馴染、哲平とは仕事仲間として関わりを持ってきた。
そんな二人からの、突然始まった謎のプロポーズ合戦。千雪にとっては疑問だらけだ。
快適に整えられた素敵な空間で悶々としている千雪と、お互いを牽制し合う翔也と哲平。
話がここに至るには、千雪がこの二人と再会した三ヶ月程前に、時間を遡ることになる。
Tシャツとジーンズとお団子ヘアの瀬戸千雪は、お茶に誘われてティエドゥールという喫茶店に居た。千雪は少しお人好しな性格の二十五歳。職業はインテリアコーディネーターだ。
ティエドゥールは爽やかなフランス風の内装で、千雪はこの内装がとても好みである。
入口はスモーキーブルーの木の扉に、金色のドアノブが付いている。中に入れば、レモン色の壁に白木の腰板。水色の木枠の出窓には、白いレースのカーテンが飾られていた。丸いテーブルと赤や緑の座面の椅子がセットされ、カウンター席もある。天井にはシーリングファンが緩やかに回り、優しい空気の流れを作りだす。BGMはもちろんフレンチジャズで、店内に彩りを添えていた。
こんな素敵な喫茶店で、楽しみにしていたお茶会のはずだった。しかし今、千雪は丸いテーブルの前で非常に困惑している。困惑の原因は千雪の両隣に座る、二人の同席者の発言にあった。
「僕と結婚してください」
「結婚するなら俺とだろ」
と、二人から、プロポーズを受けたのだ。それも突然に。
千雪の同席者とは。
右隣に座っている鈴木翔也。フランス人の母を持つハーフの彼は、千雪と同い年の二十五歳で幼馴染だ。今日お茶に誘ってくれたのは、この翔也である。
そして左隣には八奈見哲平。彼は千雪の高校の同級生だ。今は、仕事仲間でもある。体育会系で硬派だが社交的な哲平は、何食わぬ顔でこのお茶会に飛び入り参加してきた。
翔也と哲平。二人を交互に見てから千雪は口を開く。
「えーと……二人に聞きたい。結婚してくださいとは、どういうことでしょう?」
千雪は知りたかった。目の前の二人が、同時にプロポーズしてきた理由を。
(どうしてこうなった?)
千雪は、ひきつった表情のまま目の前のコーヒーカップに視線を落とした。
この二人と千雪は、三ヶ月程前に再会したばかりだった。
翔也とは中学三年以来の十年ぶり、哲平とは高校三年以来の七年ぶりの再会だ。その間、二人との親交は途絶えていた。再開してから今日に至るまで、翔也とは幼馴染、哲平とは仕事仲間として関わりを持ってきた。
そんな二人からの、突然始まった謎のプロポーズ合戦。千雪にとっては疑問だらけだ。
快適に整えられた素敵な空間で悶々としている千雪と、お互いを牽制し合う翔也と哲平。
話がここに至るには、千雪がこの二人と再会した三ヶ月程前に、時間を遡ることになる。


