はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
だが、清香にとって春人の存在は厄介だ。暴行罪にされるなんてとんでもない。清香は、哲平の言葉をしれっと否定してみせた。

「暴行なんてしてないから!」

春人は何も言い返さなかった。眼鏡の奥で笑っている目が怖い。その隣で、千雪を庇いながら佇む哲平も、目を細めて静かな怒りに満ちていた。息をするように嘘をつく清香に呆れてしまう。

「上原さん。話をするなら場所変える?」

諭すように哲平は言った。が、語気は強めだ。清香は首を横に振った。移動する気はないようだ。

「はーるーとー!瀬戸さーん!あれ?八奈見さんも?あぁ、瀬戸さんのお迎えですか?あと、そちらの方?」

着替えを終えた梨乃が走ってこちらに近づいて来た。ひらひらした可愛い服に身を包んでいる。かっちりした制服姿の印象とは大違いだ。

「わぁ!梨乃は今日も可愛いですね。チケットは買ってありますので大丈夫です」

満面の笑みで春人が言う。声のトーンがさっきより格段に高い。主人に忠実な犬が、千切れんばかりに尻尾を振っているようだ。

「では、僕たちはこれで失礼します。上原さん、明日また改めてお会いしましょう。では八奈見さん。瀬戸さんの事を、よろしくお願いします」

春人は梨乃の背中を押して、早々に去って行った。
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