喪失の夜に、あなたがいた
家族として迎えることを示すように言った。

その言葉は、
 明莉の胸に深く染み込んだ。

(……私は、もう一人じゃない)

そう思えた。

帰り道。
 夕暮れの街を歩きながら、
 楓がそっと明莉の手を握った。

「……明莉」

「ん?」

「これからも……一緒に歩いていこう。
 ゆっくりでいい。
 でも、確かに前へ進んでいこう」

その言葉は、
 優しくて、
 強くて、
 未来を照らす光のようだった。

明莉は静かに頷いた。

「……うん。
 楓さんとなら……どこまでも歩いていける」

手を繋いだまま、
 二人はゆっくりと歩き出した。

その歩幅は同じで、
 その温度は同じで、
 その未来は同じ方向を向いていた。

こうして──
 明莉と楓は“本当の夫婦”として、
 新しい未来へ静かに踏み出した。

喪失の痛みも、
 過去の影も、
 すべて抱えたまま。

それでも、
 確かに前へ進んでいく。

二人の物語は、
 ここから始まる。

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