喪失の夜に、あなたがいた
鈍い音が響いた。

テーブルの角にぶつかった衝撃で、明莉の身体がぐらりと傾く。

視界が揺れた。
 音が遠のく。
 床が近づく。

「明莉さん──!」

楓の声が、
 水の底から聞こえるようにぼやけていた。

腕が支えようと伸びてくる。
 でも、間に合わない。

明莉の身体は床に倒れ、
 冷たい感触が背中を包んだ。

痛みが遅れてやってくる。
 鋭く、深く、息が詰まるほどに。

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