イケメン三兄弟×美少女三姉妹の不器用すぎる甘い恋 ──恋に興味のない私は、姉妹の恋を見守ります。──

第1話:お隣さんの変わらない朝

「おい、遅刻するぞ」
海野家の玄関前で、次男の旭が気怠げに呟く。
塩対応な彼の視線の先で、次女のちはるが「あ、待って待って!靴紐が!」とドジを踏んで盛大にすっ転んでいた。
「いてて……」
「……ほんと、手がかかる」
呆れたようにため息をついた旭は、しかし誰よりも早くしゃがみ込み、ちはるの靴紐を結び直してやる。
だが、肝心のちはるは「ありがと旭! さすが旭は優しいなあ!」と、それが恋心からの優しさだとは微塵も思っていない様子で満面の笑みを浮かべた。
その天然っぷりに、旭はわずかに耳を赤くして目を逸らす。
少し離れた場所では、長男の蒼が、長女のこはるの教科書忘れをさりげなく指摘していた。 「こはる、それ昨日の置き勉だろ。ほら、今日の時間割」
「ほんとだ!蒼、ありがと!助かった〜!」
頼りになる幼なじみ・蒼に、こはるは全幅の信頼を寄せて頭を下げる。
蒼は「まったく、しっかりしろよ」と苦笑いしながらも、こはるに向ける視線はどこまでも甘い。もちろん、こはるはその視線の意味に全く気づいていない。
そんな大人げない(?)二組のやり取りを、少し離れた電柱の陰から冷めた目で眺める一人の少女がいた。藤原家の末っ子・みはるだ。
「……バカな四人~。朝から見せつけやがって、脳みそお花畑かよ」
「毒舌だな、みはるは」
隣に立つ海野家の末っ子・歩が、呆れたように、しかし慣れた様子で返す。
恋愛に微塵も興味がない二人は、今日も特等席で兄姉たちのじれったい朝の光景を観戦し、「今日も今日とて進展ゼロだな」と心の中で一致団結するのであった。
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