イケメン三兄弟×美少女三姉妹の不器用すぎる甘い恋 ──恋に興味のない私は、姉妹の恋を見守ります。──

第10話:花火の音と隠した本音

ドーン、と腹に響くような音とともに、夜空に大輪の花火が打ち上がった。
境内の一角に集まった6人は、それぞれの視線を夜空へと向ける。
「うわあ、きれい……!」
パッと顔を輝かせたちはるの横顔を、旭はほんのわずかに横目で盗み見る。
(……綺麗だな)
もちろん、心の中で呟いたその言葉は、大きな花火の音にかき消されて誰にも届かない。
いや、仮に聞こえていたとしても、ちはるは「花火って本当に一瞬で消えちゃうから切ないよね!」と別の意味で感動していただろう。
少し離れた場所では、こはるが「ねえ蒼、見て! あそこの大玉、すっごく大きい!」と、蒼の袖をクイクイと引っ張っていた。
「あ、ああ……そうだな」
至近距離で触れてくるこはるの体温に、蒼の心臓はうるさく跳ねる。
(いつまでこうやって、ただの『幼なじみ』でいなきゃいけないんだ……)
言葉にできない焦りと切なさが胸を締め付ける中、蒼は思わずこはるの手首を、いつもより少しだけ強く掴みかけた。
だが、寸前のところで「どうしたの、蒼?」と首をかしげるこはるの無邪気な瞳に負け、結局その手はゆっくりと離れてしまう。
「……見ててこっちが息苦しくなるな」
「ほんと、精神衛生に悪いわ。早く終わんねえかな、この茶番」
少し離れた階段の段差に腰掛けながら、歩とみはるは冷めた目を向けていた。
「でもさ、みはる」
「ん?」
「来年も、再来年も、俺たちはこうやってあいつらを見守るんだろな」
歩の言葉に、みはるは小さく鼻を鳴らしてそっぽを向く。
「……バカか、お前は。そんなの当たり前だろ」
素直になれない毒舌のみんなのアイドルの口元に、しかしわずかな笑みが浮かんでいることに、歩はあえて触れないでおいた。
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