ヤンキーが全教科満点取るなんて聞いてない!
第1話:放課後の捕り物と、不穏な特訓
夕暮れ時の廊下に、カチリと硬質な足音が響く。
風紀委員兼学年執行委員の相坂真奈美は、前髪ぱっつんの分厚い黒縁メガネのポジションを人差し指で直し、キッと鋭い視線を前方の男子に向けた。
「そこ、黒瀬くん! 第3ボタンまで外してポケットに手を突っ込んで歩くなんて、我が校の校則に真っ向から反していますよ!」
注意された金髪の不良――黒瀬蓮は、気だるげに足を止め、やれやれといった風に振り返った。
耳たぶで揺れるピアスが、夕日に反射してチカリと光る。
「はいはい、委員長様。今日も耳が痛い説教ご苦労さんでーす」
「茶化さないでください! ……まったく、あなたという人は。次の期末テストだって、どうせまた赤点スレスレなんでしょう? あなたが赤点を取ると、クラスの平均点が下がって私たち執行委員まで連帯責任で職員室に呼ばれるんですからね!」
真奈美がトゲのある言葉を吐き捨てるのには、理由があった。
実は今回の期末テストでクラス平均が学年ワーストから脱却できなければ、真奈美は執行委員の仕事を降ろされてしまうかもしれないのだ。
生徒会役員への推薦も懸かっているこの時期、赤点常連の黒瀬は最大の爆弾だった。
しかし、黒瀬は不敵な笑みを浮かべ、真奈美の顔をじっと覗き込む。
「そんなに俺の成績が心配か? じゃあさ、委員長が毎日俺の勉強を見てくれよ。そしたら少しは真面目にやってやるからさ」
「は……? なんで私が不良の面倒を……!」
「嫌なら赤点回避は無理だな。――よろしくな、委員長」
こうして、二人の不穏で秘密の放課後特訓が幕を開けたのだった。
風紀委員兼学年執行委員の相坂真奈美は、前髪ぱっつんの分厚い黒縁メガネのポジションを人差し指で直し、キッと鋭い視線を前方の男子に向けた。
「そこ、黒瀬くん! 第3ボタンまで外してポケットに手を突っ込んで歩くなんて、我が校の校則に真っ向から反していますよ!」
注意された金髪の不良――黒瀬蓮は、気だるげに足を止め、やれやれといった風に振り返った。
耳たぶで揺れるピアスが、夕日に反射してチカリと光る。
「はいはい、委員長様。今日も耳が痛い説教ご苦労さんでーす」
「茶化さないでください! ……まったく、あなたという人は。次の期末テストだって、どうせまた赤点スレスレなんでしょう? あなたが赤点を取ると、クラスの平均点が下がって私たち執行委員まで連帯責任で職員室に呼ばれるんですからね!」
真奈美がトゲのある言葉を吐き捨てるのには、理由があった。
実は今回の期末テストでクラス平均が学年ワーストから脱却できなければ、真奈美は執行委員の仕事を降ろされてしまうかもしれないのだ。
生徒会役員への推薦も懸かっているこの時期、赤点常連の黒瀬は最大の爆弾だった。
しかし、黒瀬は不敵な笑みを浮かべ、真奈美の顔をじっと覗き込む。
「そんなに俺の成績が心配か? じゃあさ、委員長が毎日俺の勉強を見てくれよ。そしたら少しは真面目にやってやるからさ」
「は……? なんで私が不良の面倒を……!」
「嫌なら赤点回避は無理だな。――よろしくな、委員長」
こうして、二人の不穏で秘密の放課後特訓が幕を開けたのだった。